ハイリスクハイリターン?ヘッジファンド投資の注意点
国力の成長が鈍化している日本では、株式価値の大幅な値上がりが期待できず、代わりにプロが運用してくれるヘッジファンド投資への関心が高まっていると言えます。
しかし、ハイパフォーマンスを目指すヘッジファンドは、同時にリスクも高いのでは?と不安に思われている方も多いでしょう。
- ヘッジファンドは元々守りの資産として誕生した
- ヘッジファンドだからこそ可能なリスク対処法もある
- どんなリスクがあるか投資を始める前に把握したうえで信頼できる優良ファンドを探そう
早速、ヘッジファンド投資をするにあたって発生しうるリスクについて確認していきましょう。
目次
ヘッジファンド投資で考えられるリスクとは?
ヘッジファンドは、株式投資や債券投資、投資信託などの伝統的運用手法と同じリスクをとりますが、リスクの範囲が伝統的な運用手法よりも広がる可能性があります。
- 元本損失のリスク(価格変動リスク)
- 換金時期が限られる(流動性リスク)
- 最低投資額が高い
- 詐欺リスク
元本損失のリスクは株式や債券、投資信託でも同じように存在しますが、換金時期が限られることや最低投資額が高額であること、詐欺リスクに関しては、ヘッジファンド特有のリスクと言えるでしょう。
それぞれのリスクについて、詳しく解説してまいります。
元本損失のリスク
ヘッジファンドはもちろん投資商品ですから元本保証されていません。
これは株式投資や債券投資、投資信託においても同様に言えることです。
しかしヘッジファンドを運用するにあたって、投資制限が緩く、空売りやレバレッジも利用するため、元本割れのリスクが高まる可能性があります。
空売り…今後値下がりすると思われるものに対して使用される投資方法。株式の場合では、自分の手元にない株式を証券会社から借りて売りに出し、値下がりをした段階で買い戻して利益を出すという仕組み。値が下がらなかった場合は損失が大きくなる。
図にしてみると、以下のような売買の流れとなります。

(引用:SMBC日興証券)
レバレッジも、運用効果を高める手法ですが、反対に大損失となることもあります。
レバレッジ…元手となる自己資金に借り入れたお金を足して投資をし、高い投資効果を得る仕組み。FX取引でよく使用される。予想と外れた場合は投資元本位以上の損失を被ることがある。
こちらも図で確認してみましょう。

(引用:外為どっとコム)
投資効果を高めるために活用されるこれらの投資手法ですが、ヘッジファンドの見通し通りにいけば大きなリターンが得られる反面、狙いが外れた場合は投資元本を上回る損失が発生する可能性もあります。
換金できる時期が限られる(流動性リスク)
基本的にいつでも取引できる株式や投資信託と違い、ヘッジファンドは解約するタイミングが限られているという点もリスクになりうると言えるでしょう。
ヘッジファンドでは、換金期間に制限を設けるロックアップ期間というものを設定しています。ロックアップ期間は、1ヶ月・3ヶ月・半年・1年とヘッジファンドにより様々です。
このロックアップ期間があるため、万が一まとまった支出が発生するとなった場合に現金化できないのは、リスクに値すると言えます。
しかし、ロックアップ期間を設定しているからこそ、ファンドはより効率的な運用を行うことが可能です。
この期間を設定することによって、ファンドマネージャーは運用目標を立てやすくなることはもちろん、当面現金を用意する必要が無いとなれば流動性の低い商品にも投資することができます。
流動性の低い商品(換金までの期間が長期に渡るもの)は比較的高利回りであるという点をふまえると、ロックアップ期間の設定は一概にリスクとは言い切れないでしょう。
ヘッジファンドは投資信託と違い、少人数の投資家から出資を募るものなので、出資者1人あたりの出資額が高額なため、いつでも解約可能にしてしまうと、常に現金で保有しておく割合が高くなり、効率的な運用ができなくなってしまいます。
このような点からロックアップ期間は、ヘッジファンドの運用に必要不可欠と言えます。しかし、長すぎるロックアップ期間を設けるヘッジファンドは避けたほうが良いでしょう。
最低投資額が高額である
1万円程度からはじめられる投資信託に比べ、1000万~数億円程度が最低投資額となるヘッジファンドは、ハードルが高いと言えます。
保有金融資産1億円の人が最低投資額1000万円のヘッジファンドに投資する場合と、保有金融資産3000万円の人が同じヘッジファンドに投資するのでは、取るべきリスクが異なります。
預け入れ資産が高額となるため、例えばそのファンドが破綻してしまった等の場合、多額の損失を被ることとなります。
ヘッジファンドの最低投資額が高額なのは、出資者人数が限られる私募ファンドであるため、1人あたりの出資額が多くなければ効率的な運用ができないためです。
投資信託 | 不特定多数 |
---|---|
ヘッジファンド | 49人以下(機関投資家のみを対象とするプロ私募は除く) |
※日本のケース
不特定多数の投資家から資金を募る公募ファンドである投資信託では、目論見書の作成や、投資内容の公開、さらに運用手法の規制などが比較的厳しい反面、少人数を対象にするヘッジファンドはこれらの決まりが緩く、様々な手法で運用できるというメリットもあります。
情報開示が限定的であることから、ヘッジファンドの中身の透明性についてもよく問題になりますが、これを悪用した詐欺ファンドもあるので注意しましょう。
詐欺ファンドであるリスク
金融リテラシーがまだ低い段階にある日本では、残念ながら詐欺ファンドが横行しているという現状です。
詐欺ファンドかどうか見極めるためのポイントを3つご紹介いたします。
- 絶対儲かるという文言を使用している
- 元本保証を謳っている
- 利回りを約束している
以上の3つのうちどれか1つ以上に当てはまるようであれば、そのヘッジファンド(のような詐欺案件)は避けるようにしましょう。
ヘッジファンドも投資商品の1つですから、時には損失が発生することも考えられます。いくらプロでも相場予想が100%当たるとは限りませんよね。
また、元本保証の4文字を使用しても良いとされる金融商品は、預貯金だけです。(個人向け国債や低リスクな保険商品もアウトです。)
レバレッジを使用したり、先物・オプション取引を得意とするヘッジファンドで元本保証は有り得ませんから、このようなヘッジファンドを避けた方がベターでしょう。
さらに毎月10%や20%などの利回りを約束している偽ヘッジファンドについては、ほとんどの確率でポンジスキームを使用した詐欺案件と言って良いでしょう。
健全に運用しているヘッジファンドでは、出資者から預かった資金で投資をしますが、ポンジスキームの場合は投資すらしません。
月々の分配金は、新規の出資金からまかない、新規出資が無くなると分配金が出せなくなるため、そのまま飛んでしまうという手法です。
過去には6兆円を超える巨額な被害を出したポンジスキーム詐欺事件も発生しています。
自分の資産を守るためにも、このようなヘッジファンドには手を出さないよう気をつけましょう。
ヘッジファンドであるからこそ可能なリスク管理
ヘッジファンドは元々、ヨーロッパの王族が自身の財産を後世に継ぐために利用された投資方法で、ハイパフォーマンスを狙うというよりは、守りの資産運用方法として活用されていました。
増やさなくても良いから、減らさないように運用してほしいというのが、当時のヨーロッパ王族の考えだったのですね。
下げ局面でも利益を出せるヘッジファンドの投資手法
通常投資信託では、TOPIXなどの指標をひとつの目標とし、それを上回るような成績を目指します。
例えばTOPIXがー10%になった時、投資信託がー7%の成績であれば、成績自体はマイナスでもTOPIXを上回っているため評価されます。
ヘッジファンドの場合、TOPIXがー10%であろうがー50%であろうが関係なく、プラスのリターンを出さなければ評価されません。
この評価方式を採用できるのは、ヘッジファンドが下げ局面でも利益を出せる投資手法を使っているからと言えるでしょう。
ロングショート戦略
ヘッジファンドの代表的な戦略に、ロングショート戦略というものがあります。
上昇の見込みがある株式を買い(ロング)、過大評価されていて株価が下がる可能性の高い株式を売る(ショート)を組み合わせた戦略ですが、通常の投資信託では、ロングだけを使用することがほとんどなので、株価が下がってしまった場合はもれなく損失が発生します。
ヘッジファンドではショートも有効に活用するため、損失額を抑えられたり、ショートのポジションを多めに持っていた場合、株価が下がれば下がるほどヘッジファンドは大きなリターンを手にすることができるという仕組みになっています。
しかし、リスク管理がしっかり出来ているとは言え、マイナスが出ないというわけではありません。
パフォーマンス実績はあくまでも過去の結果である
過去にマイナスが出なかった・平均で○%以上のリターンが出たというような運用実績を見ると、魅力的に映りますよね。
しかし、あくまでも実績は過去のもので、将来的にも同じようなリターンが得られる確証があるわけではありません。
想定される損失額を大幅に上回り大損失を出したヘッジファンド
サブプライム危機が発生する前、ヘッジファンドの運用者たちは考えられる最悪の損失額の想定値を小さく見積もっていたことが、後に分かりました。
例えば1000万円で投資し、最悪の場合500万円になる可能性がありますとリスクの説明をしていたところ、実際サブプライム危機が起こると300万円まで減ってしまったというようなことですね。
これはヘッジファンドが運用している中身の商品を個別にリスク度合いを測っていたからで、それぞれの相関性を無視して最悪の損失額を計算していたことに起因します。
情報開示に積極的でないヘッジファンドの特性から、投資家側はどのくらいの損失が発生し得るか想定しづらいというのも問題と言えるでしょう。
リターンが操作されている可能性も?
さらに、ヘッジファンドのような閉鎖的な団体ですと、何に投資しているか詳細が公開されないことがほとんどで、実際の取引内容が操作されるという可能性も否定できません。
例えば非上場の株式(未公開株式)の場合、取引内容が公開されない限り、我々投資家は実際の取得価格・売却価格の確認のしようがありません。
運用実績の見た目を高めるために、取得価格を操作出来てしまうということです。
実績が本物であれば、投資の判断材料の1つと言えますが、過去のパフォーマンスだけを見てヘッジファンドを選ぶのはおすすめできません。
ヘッジファンド投資をはじめる前に、ファンドの担当者と面談の機会が設けられることがほとんどです。その際に運用実績等の説明を受けると思いますが、怪しい点はないか、信ぴょう性があるかどうか見極める必要があります。
おすすめヘッジファンド
筆者もヘッジファンドに投資中ですが、やはりプロに任せているとは言え、契約後も株式の上下が激しかった時期は一時的でもマイナスが出たりして(その後、プラスに好転しましたが)不安も大きかったです。
そんな中で、なるべく値下がりリスクが少ないヘッジファンドをおすすめするとなると、やはりBM CAPITAL(BMキャピタル)かなと思います。
(引用:BM CAPITAL)
BM CAPITAL (BMキャピタル)は、年間平均利回りなんと約10%~20%とかなりの好成績。
また、そんな好成績を実現させながら、過去にマイナスがでた年の回数ゼロ回というから驚きですよね。大手ヘッジファンドがことごとくマイナスを出した、2018年の下落相場も無傷で決算を迎えられています。
参照:Bloomberg ヘッジファンド、昨年(2018年)の運用成績は6%近いマイナス-相場変動などで
そんなBM CAPITALの投資対象は日本株で、中でも市場で価値評価が適正に行われていない中小型割安株がメイン。
既に割安水準の株価で買い付けるため、投資後にさらに値が下がってしまうリスクは比較的少ないと考えられます。
また他にも、
- 企業価値・株価上昇を目指しアクティビストとして活動する場合も
- 東京大学卒業後、有名外資系投資銀行で経験を積んだファンドマネージャーが運用
- 投資初心者向けの国内投資会社と明言
などのおすすめポイントがあります。
このように、BMキャピタルは資産の損失リスクを最大限に抑えて運用が出来る貴重な国内ファンドと言えるでしょう。
また、初心者向けの投資会社と自ら述べている通り、面談や運用報告書も丁寧でわかりやすいのも特徴の一つ。他ファンドと比べ面談でのファンド説明も大変わかりやすく、気張らずカジュアルに気になることをいろいろ聞けましたよ!
公式サイトから資料請求や問い合わせをすると、過去実績や運用方法、手数料などの詳細情報も確認できますので、興味のある方は一度コンタクトを取ってみると良いでしょう。
その際に投資にあたり予想されるリスクやその対処法などをファンドの担当者に事細かにヒアリングしてみると安心ですね。
資料請求や問い合わせは無料で何度でも可能です。最近では、コロナの影響を受けてオンラインでの面談も可能になったそうです。滅多にない機会ですので興味のある方はお早めにご予約することをおすすめします!
まとめ
ヘッジファンドは投資制約が比較的緩く、様々な運用手法を用いることができるというメリットもありますが、制約が緩いことによって、株式投資や債券投資などの伝統的運用手法とは異なるリスクを負うというデメリットもあります。
リスクについてしっかり予習することはもちろん、信頼できるヘッジファンドであるか見極める必要があります。
その他、本ブログでは国内外のヘッジファンドランキングや、ヘッジファンド投資や投資信託で失敗しないためのワンポイント、よくある失敗をまとめた記事もありますので、ヘッジファンドの探し方・選び方でお悩みの方は是非参考にしてみてください。
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