一生懸命貯金を続けた結果や退職金や相続金が入ってきたなど、様々な理由で貯金が5,000万円を超えたらどうすべきでしょうか?
5,000万円を全額貯金しておくか、あるいは資産運用を始めるか。
選択はあなた次第ですが、資産運用を始めるか否かの決断で5年後・10年後など将来の資産額に大きな差が生まれるのは確かです。
資産5,000万円を上手に運用すれば、5,000万円を1億円にまで増やして準富裕層から富裕層へ仲間入りすることも夢ではありません。
(引用:野村総合研究所)
また最近では「お金自ら稼ぐ」投資で不労所得を稼ぎ、早くにセミリタイアする「FIRE」を目指す人も増加。
5,000万円を資産運用することで、1番アブラの乗った30代や40代はバリバリ働き、50代からは配当金で生活するなど、悠々自適で精神的にも余裕を持った老後生活が実現可能です。
それでは安全に5000万円の資産運用を始める一歩を踏み出しましょう!
5,000万円も資金があればかなり分散投資ができるため、色々と検討してみるのがおすすめですよ。
目次
【タイプ別】投資方法・ポートフォリオ例
まずは、以下の3つのタイプで5,000万円を資産運用した場合、資産はどのように増えていくかを見てみましょう。
期待 利回り |
安定志向 ~2% |
積極運用 (独力) 3~4% |
積極運用 (プロに委託) 10%前後 |
---|---|---|---|
1年 | 5100万 | 5200万 | 5500万 |
5年 | 5520万 | 6083万 | 8052万 |
10年 | 6094万 | 7401万 | 1億2968万 |
20年 | 7429万 | 1億955万 | 3億3637万 |
(参考:Ke!san)
運用シミュレーションによると、4%以上で運用した場合、10年~20年で、10%前後で運用した場合だと5年~10年で資産が1億円(富裕層)に達することがわかります。
では、それぞれのタイプに該当する5,000万円の運用方法にはどのようなモノがあるのでしょうか?
※リンクから該当見出しにジャンプできます。
【安定志向派】投資方法・ポートフォリオ例
安定志向の資産運用なら、インフレが進んでも資産価値が下がらない程度に2%程の利回りは欲しいところ。
ここでは安定志向派に向いている比較的低リスクな運用商品をご紹介します。
①定期預金
②個人向け国債
③社債
①定期預金|普通預金より高い利益が期待できる

期待利回り | 年0.002%~0.3%程 |
メリット | ・安全性が極めて高い ・流動性も高く即時に現金化できる |
デメリット | ・金利がほとんどつかない ・インフレ下では資産価値が目減りする |
具体的な 投資先例 |
・ 金利の高いネット銀行 例:SBI新生銀行0.3% |
銀行預金は元本保証の金融商品。
預金保険機構によって銀行破たん等によるリスクから公的に保護されている(ただし1000万円まで)ため安全性は高いです。
しかし、「貯金5000万円を資産運用に回すべき理由」の章で詳しく解説しますが、銀行の金利はバブル崩壊後の日本銀行によるゼロ低金利政策により、1%にも満たないのが現状。
またインフレ下では銀行に預けていても資産価値は目減りする一方ですので、5,000万円を全て預けるというよりも、分散投資の一部としてポートフォリオに組み入れるのをおすすめします。
定期預金を利用する場合は、メガバンクよりも金利が高めなネット銀行などを利用するなどの工夫が必要です。

②個人向け国債|ほぼノーリスクで利益を狙う

期待利回り | 年0.05%~0.1%前後 |
メリット | ・元利が政府によって保証され価格変動リスクを受けない ・銀行預金より金利が高い(最低金利0.05%) ・変動金利型なら金利上昇のメリットを享受できる ・少額(1万円)から投資可能 |
デメリット | ・購入後1年経過しないと換金できない ・満期前に解約すると受取額が減る ・インフレ下では資産価値が目減りする |
具体的な 投資先例 |
・変動型10年(基準金利×0.66) ・固定型5年(基準金利-0.05%) ・固定型3年(基準金利-0.03%) |
(参考:財務省)
個人向け国債の金利は商品タイプにもよりますが、いずれも政府によって最低金利0.05%が保証されています。
さらに、変動型なら将来実質金利が上昇したときに金利上昇のメリットを享受することも。
一般的な公社債と異なり、途中解約することも可能。
また、市場では売買されないため価格変動リスクもありません。
しかし、銀行金利より金利が高いといっても0.1%前後ですから、個人向け国債も分散投資先の一つとして検討すると良いでしょう。

③社債|低リスクで利益を狙う

期待利回り | 年0.5~2%前後 |
メリット | ・国債・銀行預金より利回りが大きい ・平常時は取り扱う証券会社に額面通りで買い取ってもらえる |
デメリット | ・最低購入単位が100万円程とまとまった資金が必要 ・【信用リスク】デフォルトで満期償還不能に ・【価格下落リスク】信用リスク次第で売買価格が下落 ・【流動性リスク】信用リスクが高まると証券会社が買い取りを拒否 |
具体的な 投資先例 |
過去に発行された個人向け社債と利回りの例 ・三菱UFJ劣後債:0.894% ・楽天カード:0.49% ・山口FG劣後債:0.79% |
社債とは、企業が設備投資資金の調達を目的に発行する債券です。
通常社債は、機関投資家が全額を引き受け、発行単位も1億円前後と巨額。
そんな中、最近は発行単位を100万円単位に引き下げ、個人向けに販売する社債も増えてきました。
中には高金利の商品もあり、2015年にソフトバンクグループが発行した通称「福岡ソフトバンクホークスボンド(発行額3700億円)」の金利は2.13%。
このような高利回り商品は投資家の注目を集めやすく、この時の福岡SBグループ債にも投資家からの問い合わせが集中しました。
個人向け社債は利回り面で銀行預金や個人向け社債より有利な反面、企業の経営破たんによるデフォルト(償還不能)リスクを抱えます。
またデフォルトまで至らなくても、懸念が生じただけで価格下落や流動性低下といったリスクを招くことも。
銀行預金や個人向け国債よりもまとまった資金が必要なのもデメリットと言えるでしょう。
社債もやはり、分散投資の一つとして検討するべき投資先ですね。
【安定志向派】資産5,000万円のポートフォリオ例
安定志向派の金融商品を組み合わせたポートフォリオの例はこちらです。
元本保証の定期預金や、安全性の高い個人向け国債に高い割合で分散投資しつつ、利回りアップをねらって社債を組み入れます。
ただし全体的にローリスクローリターンの金融資産ばかりだと、やはりインフレに負けてしまう可能性が高いため、5,000万円の資産をしっかり育てていきたい方は下でご紹介する投資先も一度検討していただきたいのが正直なところです。
【積極運用派(独力)】投資方法・ポートフォリオ例
続いては自分で積極的に5,000万円を運用したい、あるいは投資経験や知識を活かしたい個人投資家の方向けに、3%~4%程度の利回りが期待できる投資先候補をご紹介します。
①株式投資
②不動産投資
③投資信託
①株式投資|低コストで投資経験が身に付く

期待利回り | 年4%~7% |
メリット | ・運用コスト(売買手数料)が低い ・投資経験が身につく |
デメリット | ・投資対象が限られ価格下落リスクにさらされやすい ・投資活動(勉強や分析等)に手間暇がかかる |
具体的な 投資先例 |
・グロース株 ・バリュー株 ・国内株 ・新興国株 ・欧米株 |
株式投資で得られるリターンは、キャピタルゲイン(株の値上がりによって得られる利益)とインカムゲイン(配当や株主優待)があります。
双方を合計したリターンは米国株で6.5%、日本株で4.5%程です。
ウォーレンバフェットのように年20%リターンをたたき出す投資家もおり、やり方によってはさらに高い利回りも狙いにいけますが、まずはマーケット平均を目指す方が無難。
諸々勘案すると年4%~6%のリターンは狙っていけそうですね。
ただし株式投資では、すべて自分の投資判断で銘柄を選ばなくてはならず、知識・経験不足による投資失敗・損失拡大のリスクがつきまといます。
また同じ株式投資でも、
- 投資対象が将来の成長性が着目されるグロース株か、割安感に着目したバリュー株か
- エリア(新興国・国内・欧米)
によってもリスク・リターンや特徴が変わってくるため、株式投資の際は対象とする株式の違いを掴むことも欠かせません。
加えて個人での投資ではどうしても投資対象の銘柄数が限られてしまうので、価格下落のリスクを受けやすくなってしまいます。
一方、株式投資のメリットは運用コストが投資信託等に比べて格段に低く済むこと。
約定金額100万円での手数料は500円強、保有コストはかからず投資信託に比べて大幅に低コストです。
その他、株式投資経験を通じて相場の読み方、株価に与える企業業績動向や経済情勢、株価指標など様々なお金の教養が身につくのも株式投資の魅力です。
逆に仕事で忙しいサラリーマンの方など相場分析に時間を割く余裕がない場合や、5,000万円もの高額資金を自分で投資するのが不安な方は他の投資商品を選ぶのが賢明でしょう。

②不動産投資|将来的に不労所得を目指す

期待利回り | 年3%~5% |
メリット | ・不動産の活用による安定したインカムゲインの確保 ・不動産ローンによるレバレッジ効果 ・実物資産としての価値による価格変動リスクの緩和 |
デメリット | ・個別の相対取引のため市場が不透明 ・実物資産なので取引コストが高い ・1件の投資失敗が大きな損害を生みやすい ・物件の現金化に時間と手間がかかり流動性も低い ・レバレッジは金利上昇の影響を受けやすい ・入居者募集や物件管理など手間がかかる |
具体的な 投資先例 |
賃貸物件を仲介する不動産会社 ・シノケン ・プロパティエージェント ・アイケンジャパン |
不動産投資の魅力は、実物資産が支える安定したインカムゲイン(賃貸収入)と底堅いリセールバリューです。
インカムもリセールも、その他金融商品と比較して変動が少ないとされています。
さらに収益面では、不動産ローンによりレバレッジを利かせることで、利回りの飛躍的アップも狙えるでしょう。
ただし、不動産は扱いの難しい投資商品でもあります。
不動産取引は株式のように市場が整備されているわけではなく、売主・買主との相対取引で価格が決定。
その土地の地盤・周辺環境・形の良し悪し・面している道路などが複雑に絡み合って価格が形成されるため、一般投資家が情報を集めるのは至難の業です。
また1件当たりの購入金額も最低数千万円とまとまった資金が必要ですし、失敗すれば大きな損失が生じかねません。
物件の現金化も広告を出して見込み客を探す、内覧会を開く、見込み客と交渉するなど手間と時間もかかりますし、流動性が低くなかなか手放せないことも。
不動産会社に支払う仲介手数料は3%以上と取引コストが高めな点や、ローンを組んでレバレッジをかけていると、金利上昇が起きた時に収益を圧迫する点には注意が必要です。
このように不動産の管理は管理会社に任せれば楽できますが、管理が行きわたっているかなどの現場チェックや入居者の募集、空室対策、家賃滞納対策、近隣トラブルなど、なにかと手間やコストがかかります。
リタイア組なら時間が取れますが、バリバリ現役で働き、時間に余裕のないサラリーマンに不動産投資は少ししんどいと感じてしまう方もいらっしゃるかもしれませんね。

③投資信託|多くの商品にプロが分散投資

期待利回り | 年3%~4%(手数料控除後) |
メリット | ・運用会社にポートフォリオ(銘柄の組合せ)を任せられる ・投信商品は複数の銘柄で組成されているため分散投資しやすい ・国内株式型(大型・中小型)、バランス型などメニューが豊富 ・積立も含め1万円程度の少額から投資が可能 |
デメリット | ・運用コスト(売買手数料・信託報酬)が割高 ・顧客には運用成績しかわからず投資スキルが磨きにくい ・売買注文時に価格が明示されない「ブラインド方式」 ・中にはハイリスク分散の投信銘柄もあり |
具体的な 投資先例 |
・【投資対象別】株式投信、債券投信、リート投信、バランス投信 ・【エリア別】国、欧米、国内、全世界型等 ・【運用スタイル別】アクティブ投信、インデックス投資 |
投資信託とは、投資するファンドを選んで出資することで、ファンドマネージャーが代わりに資産運用し利益を投資者に還元してくれる金融商品です。
投資家は銀行・証券などの販売会社で口座開設し投資ファンドを購入します。
株式・リート・債券・バランス型など何千もの投資信託ファンドの中から投資先を選ぶ知識と手間はかかりますが、運用自体はファンド側が行うため、投資家は売却タイミングを見計らうだけでOKです。
もう1つのメリットは分散投資によるリスクの軽減。
投資信託では不特定多数の投資家からの出資を受けた潤沢な資金で数十から百を超える銘柄で投資ポートフォリオを組成します。
個人の株式投資ならせいぜい10銘柄前後といったところですから規模感が違いますよね。
さらに投資信託は5,000万円を一括で投資することも勿論できますし、少額から積み立て投資も可能です。
一方、投資信託のデメリットは運用コスト(手数料)の高さ。
アクティブファンドの場合、3%前後の売買手数料、年1.5%前後の信託報酬がチャージされます。
10年間所有すると20%近いコストがかかる上、この信託報酬は運用成績の良し悪しに限らず常に掛かってくるため、運用でマイナスが出ている時には傷口に塩を塗る形になってしまいます。
運用の手間を抑えたいサラリーマンの方などには使いやすい投資信託ですが、手数料に負けない程の利益を出せるファンドを見極めることが大切です。
【積極運用派(独力)】資産5,000万円のポートフォリオ例
積極運用(独力)派の金融商品を組み合わせたポートフォリオの例はこちらです。
高利回りの株式である程度のリターンを目指しつつ、不動産投資により安定したインカムゲイン(家賃収入)を確保。
残りは自分のリスク許容度に応じ、マッチングする投資信託に複数分散投資すると安心ですね。

【積極運用派(プロ)】投資方法・ポートフォリオ例
5,000万円を積極的に運用して増やしたいけど、投資の知識が乏しく不安、または仕事が忙しくて投資に時間を割く余裕がないという方も多いでしょう。
そんな投資初心者の方や忙しいサラリーマン世代におすすめなのが、「投資のプロに運用を任せる」ヘッジファンドです。
高い利回りも魅力で、年利回り2桁台も充分期待できます。
①ヘッジファンド
①ヘッジファンド|高利回り+運用はプロにお任せ

期待利回り | 年10%程~ |
メリット | ・金融のプロに運用を一任できる ・上昇・下落いずれの相場でもプラスリターンを目指す絶対収益 ・ファンドマネージャーの意欲を高める成功報酬制 |
デメリット | ・最低出資額が高め ・相場がトレンドの波に乗っているときは苦戦するファンドも |
具体的な 投資先例 |
主な有名ヘッジファンド ・ブリッジウォーター ・ルネッサンス・テクノロジー ・BMキャピタル(日本) |
ヘッジファンドも投資信託と同じく投資のプロに運用を任せられ、手間のいらない運用先です。
メディアでは投機的で暴利をむさぼるように捉われがちなヘッジファンドですが、本来ヘッジファンドの投資手法は、相場の急落リスクをヘッジし安定的な収益確保を目指すこと。
一般的な投資信託では、ベンチマークを上回る相対収益確保を目標としており、
- ベンチマーク(東証株価指数)プラス5%、ファンドの収益プラス7%⇒目標達成
- ベンチマーク(東証株価指数)マイナス5%、ファンドの収益マイナス2%⇒目標達成
といったようにマイナス収益でも許容されてしまう一方、ヘッジファンドは相場環境に関係なくプラスの絶対収益を目指します。
では、どうやって絶対収益を確保できるのでしょうか?
不特定多数の投資家から資金を集める投資信託は、運用資産の安全性確保のためオプション・スワップ・先物といったデリバティブ取引が規制されます。
一方、ヘッジファンドは規制が比較的緩く、市場で自由にデリバティブ取引を駆使できるので相場下落時にもリターンを狙えるんです。
また投資信託とは違い、ヘッジファンドでは利益が出た時のみ手数料が発生する成功報酬を主な収入源としているため、利益確保への熱意も相当のもの。
マイナスリターンでは主な収入源を失ってしまうだけでなく、創出したリターンに比例して成功報酬が転がり込むので、ヘッジファンドには強いインセンティブが働くんです。
最低出資金額が高額なため投資信託などと比べると敷居は高くなりますが、年10%を超える安定収益はたいへん魅力的。
5,000万円の資産がある方なら選択肢に入れたい投資先ですね。
国内ヘッジファンド例:BMキャピタル
ではヘッジファンドにはどうしたら出資できるのでしょうか?
残念ながら名門といわれる海外ヘッジファンド(ルネッサンス・テクノロジー、ブリッジウォーター、ブラックストーン等)は最低出資金額が500万ドル(約5億5,000万円)前後で、そもそも紹介がなければ門前払いです。

BMキャピタルは2013年に組成した日本では老舗のヘッジファンド。
最低出資金額は1000万円と少額ではありませんが、5,000万円の資産を既にお持ちの方は十分検討できる範囲です。
BMキャピタルは東大や京大卒で外資系投資銀行経験者を中心に構成されており、毎年約10%~20%ものリターンを叩き出しています。
同社が安定して好成績を出せるのは、
- 東京大学卒業後、有名投資銀行バークレイズでキャリアを積んだファンドマネージャーが運用
- 値動きが穏やか、かつ株価高騰の可能性もあるバリュー株(割安株)に投資
- 企業価値・株価上昇のを企業内部から促すためにアクティビストとして投資先企業に働きかける場合も
などの要素が関わっているでしょう。
またBMキャピタルは「投資初心者のための国内投資会社」と明言。
投資家とのコミュニケーションを大切にし、運用レポート等もグラフや図を多用したわかりやすい内容に仕上げているため、投資初心者に優しいヘッジファンドでもあります。
資金に余裕がある場合は5,000万円丸ごとお任せするのもありですが、同社の投資対象は日本のバリュー株のため、分散投資の観点では5,000万円の一部をBMキャピタルへ、残りは他の金融商品や海外資産へ投資するのも良いかもしれないですね。
詳しい運用方法や過去の運用実績は公式サイトからお問合せでき、資料請求やお問合せだけでなく、面談(希望すればオンラインでの面談も可能)も無料で対応してくれます。
ヘッジファンドは運用手法流出防止の点でもネット上に公開される情報に限りがあるので、興味がある方は一度気軽に尋ねてみても良いでしょう。
BMキャピタルやヘッジファンドの仕組みについてもっと詳しく知りたいという方は以下も参考にしてみてくださいね。


【積極運用派(プロ)】資産5,000万円のポートフォリオ例
積極運用(プロ)派の金融商品を組み合わせたポートフォリオの例はこちらです。

ヘッジファンドにお任せしてしっかりリターンをねらいつつ、自分のリスク許容度に応じ複数の投資信託に配分して分散投資を図ります。
私の場合は、BMキャピタルの主な投資対象が国内株式なので、投資信託は外国債券・国内債券・外国株式のファンドを組み合わせています。
貯金5,000万円を資産運用に回すべき理由
ここまで、3つのタイプ別に投資方法とポートフォリオ例を紹介してきましたが、
「安全な銀行での貯金はだめなの?」
「5,000万円あれば、投資をしなくてもこの先暮らしていけるのでは?」
「そもそも5,000万円を資産運用に回すべき理由は?」
など、疑問に思った方も多いはずです。
事実、「お金のデザイン」(東京)が2022年に全国の50~70代の男女1000人(保有金融資産1億円未満)を対象に行った調査によると、約62%もの方が老後の資金のために銀行の定期預金と普通預金を活用していると答えています。
(引用:お金のデザイン)
また、投資の印象について聞いたところ、ネガティブな意見が目立ちました。
- 「リスクがあるものに頼る気はしない」
- 「リスクが高く、ギャンブル性が高い。」
- 「よく知らないので、投資しようと思えない」
- 「 投資は怖いイメージで貯蓄の方が良いと思う」
- 「現在の日本では投資は不安のほうが強い」
- 「貯金がなくなったら困るから」 など
この調査が行われた当時50~70代の方はバブル時代全盛期の1985年当時10~30代です。
バブル時代全盛期の当時、ご両親やご本人が銀行にお金を預けて金利だけで利益を得た経験のある方や、投資に対して悪いイメージある方がこのような意見を出されていることが予想できます。
しかし、超低金利時代・少子高齢化社会による年金の引き下げ・物価高騰がつづく現代でも、同じことが言えるのでしょうか?
そこでこの章では、5,000万円を資産運用に回すべき理由を以下の4つの項目に分けて解説していきます。
5,000万円あっても27年しか暮らせない
皆さんは、5,000万円があったら何年暮らせると思いますか?
2021年に総務省が発表した「家計調査 家計収支編」では、単身世帯の1か月あたりの平均消費支出は約15万円。
内訳としては以下の通りです。
食費 | 38,410円 |
---|---|
住居 | 22,116円 |
光熱・水道 | 11383円 |
交通・通信 | 18,856円 |
保険医療 | 7,625円 |
教養・娯楽 | 17,106円 |
など
この調査では持ち家率が56.1%と高く、住居費の平均額が低くなっています。
では、20歳から単身世帯になったとして、持ち家があり、娯楽や趣味をあまり楽しまず、大きな病気もなく月15万円でつつましやかに生活をした場合、5,000万円で何年暮らせるのでしょうか。
5,000万円 ÷ 180万円(平均消費支出15万円×1年) = 約27年
答えは、約27年、47歳まででした。
立命館大学の資料によると、昭和11年の平均寿命は男女ともに50歳以下。
(引用:立命館大学)
この時代なら十分な額だったかもしれません。
では、現在の日本の平均寿命まで生きると仮定した場合、いくら必要になるのでしょうか。
2021年に厚生労働省から発表された日本人の平均寿命は、男性が81歳、女性は87歳です。
仮に85歳まで生きると仮定した場合、20歳から65年は暮らせるお金が必要になります。
平均消費支出15万円 × 65年 = 約1億1,700万円
前述のようにつつましやかに生活したとしても、65年で約1億7,000万円が必要だということがわかります。
以下の表は、同じ条件で計算した場合、85歳までにいくら必要なのかを年齢別にまとめた表です。
現在の年齢 | 85歳まであと | いくら必要? |
---|---|---|
20歳 | 65年 | 1億1,700万円 |
30歳 | 55年 | 9,900万円 |
40歳 | 45年 | 8,100万円 |
50歳 | 35年 | 6,300万円 |
60歳 | 25年 | 4,500万円 |
70歳 | 15年 | 2,700万円 |
80歳 | 5年 | 900万円 |
何度も言いますがこの条件は、20歳から単身世帯になったとして、持ち家があり、娯楽や趣味をあまり楽しまず、大きな病気もなく月15万円でつつましやかに生活をした場合です。
ほとんどの方の場合、家族がいる方や、持ち家の無い方、娯楽や趣味などを楽しみたい方など、1か月の支出額がこの平均額よりかかる方のほうが多いことを忘れてはいけません。
「人生100年時代」とも言われる昨今、5,000万円を手にしたからと言って、投資などで収入を得る準備もしないまますぐ仕事を辞めてしまったりするのは危険と言えるでしょう。
「老後2,000万円問題」2000万円以上必要になる可能性も
2019年金融庁から発表された、いわゆる「老後2,000万円問題」は、皆さんもきっと記憶に新しいはず。
「老後2,000万円問題」とは
2019年に金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書に掲載された試算の報告。
収入と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合には、20 年で約 1,300 万円、30 年で約 2,000 万円の取崩しが必要になる。
簡単に説明すると、
高齢夫婦無職世帯の生活費は、1ヵ月あたり約26.3万円がかかると言われています。
対して年金年収は20.9万円なので、1ヵ月あたり約5万円の不足が生じることに。
つまり、老後が20年だった場合は約1,300万円、30年だった場合は約2,000万円もの赤字がでるという試算が報告されました。

1,300万円~2,000万円もの不足金を公的年金以外で補っていく必要があるといった金融庁からの発表は、いわゆる「老後2,000万円問題」として話題を集めました。
しかし、この試算報告が発表されて4年が過ぎた現在、止まらない物価高騰の影響で不足金は当時の2,000万円をゆうに超えるとの指摘も。
経済評論家の加谷珪一氏の試算によると、当時の年金収入が続くと仮定して現在の物価高をあてはめた場合、老後30年で約2,400万円もの資金が必要になることがわかったのです。

支出:27万5381円 - 収入:20万9198円 =差額:6万6183円
差額:6万6183円 × 30年 = 不足:2,382万5,880円
今後も物価高騰の長期化が懸念されていることに加えて、少子高齢化による年金の引き下げなど、物価に対して収入が少なくなっていく可能性も考えられます。
また、老後に旅行や趣味などの時間を楽しみたいなど、このモデルケースより支出が増えることも視野に入れると、手元に5,000万円あるからといって安心はできませんね。
超低金利時代で銀行の預貯金では利回りを期待できない
銀行の普通預金の金利が5%を超えていたバブル時代。
銀行や郵便局にただ「預けているだけ」で資産が増えていきました。
この当時の記憶から、「銀行に預けておけば安心だし、金利でお金が増えていく」というイメージを持たれている方が多いのではないでしょうか。
しかし、バブル経済が崩壊後、日本銀行は「ゼロ金利政策」を敢行し、現在までつづく超低金利時代に突入。
バブル時代に5%もあった金利は、現在もっとも高い金利で0.2%程度にも落ち込みました。
(引用:日本銀行)
例えば、5,000万円を1年間普通預金に預けた場合を比較すると、1985年には250万円もの利息を受け取れていたのが、現在では良くても10万円しか受け取れないということになるのです。
1985年 | 2023年 | |
---|---|---|
金利 | 5% | 0.2% |
1年後 | 250万円 | 10万円 |
総額 | 5,250万円 | 5,010万円 |
更に、銀行の普通預金にお金を預けた場合、お金が増えないどころかインフレの影響で資産が減ってしまう可能性もあります。
続けて見ていきましょう。
銀行の預貯金はインフレの影響を受けるリスクがある
物価上昇がつづく昨今、銀行の預貯金ではインフレの影響を受ける可能性があります。
インフレ(インフレーション)/ デフレ(デフレーション)とは
インフレ(インフレーション)とは、モノの価値がお金の価値より高くなることを指し、対してデフレ(デフレーション)とは、物価が下がり続けて、お金の価値が上がる状態のことを言います。
例えば、モノの価値が上がり、100円で買えたリンゴが200円になってしまう状態がインフレです。
反対に、100円で買っていたリンゴが50円で買える状態がデフレということになります。

デフレの時代においてはお金の価値が上がっているので、「現金は最強の投資対象」などと言われてきましたが、インフレ時代ではまったく逆の状態になります。
インフレがつづく昨今ですが、2022年4月の物価上昇率は日銀が掲げる物価目標の2%を達成し、12月にはなんと4%にも到達しました。
(引用:日本経済新聞)
インフレが進んでいる場合、銀行の預貯金だけで資産を管理している人は、物価が上昇した分だけその資産を失うということになります。
2023年は物価の上昇率は約2~3%に鈍るとの予測がされていますが、仮にこの先10年間の物価上昇率が2%だったとし、資産が5,000万円あった場合、この資産が10年後にはいくらに減ってしまうのかを以下の計算式に当てはめて計算しました。

すると5,000万円の実質価値は4,100万円にも下がることになり、900万円は使ってもいないのに自然と価値が失われてしまうことがわかりました。
約900万円を失わないためには10年間、2%の金利を維持する必要がありますが、現時点で銀行の普通預金の金利は良くても0.2%ですから、これを補うことができません。
せっかく手にした5,000万円がインフレの影響を受けて減ってしまうともったいないので、銀行の預貯金よりも利回り率が高い資産運用をする必要があるということなのです。
ここで補足なのですが、インフレ率が2%つづくと仮定して、資産運用をした場合にどのような影響がでるのかを先ほどの3つのパターンに分けて実質的な資産価値を計算してみました。
- 安定志向派で2%の利回りで資産運用した場合
- 積極運用派(独力)で4%の利回りで資産運用した場合
- 積極運用派(プロにお任せ)で10%の利回りで資産運用した場合
実質 利回り |
安定志向 | 積極運用 (独力) |
積極運用 (プロに委託) |
---|---|---|---|
2-2=2% | 4-2=2% | 10-2=8% | |
1年 | 5000万 | 5100万 | 5400万 |
5年 | 5000万 | 5520万 | 7346万 |
10年 | 5000万 | 6094万 | 1億794万 |
20年 | 5000万 | 7429万 | 2億3304万 |
安定志向で2%の利回りで資産運用した場合、資産価値が目減りするのを防いではいるものの、資産は全く増えていきません。
一方、積極運用派ではどちらもインフレ率を吸収できている上に、利回り率が高ければ高いほど実質的な資産価値を安定的に増やせていけることがわかりますね。
このように、資産運用をするにしても、利回り率によってはインフレの影響が将来の資産額にも大きく関わってくることをおわかりいただけたはずです。
5,000万円で資産運用を行うメリット
さらに、5,000万円で資産運用を行うメリットとして、以下の2つが挙げられます。
それぞれ見ていきましょう。
早期リタイア(FIRE)ができる
近年、新たなライフスタイルとして注目される「FIRE」。
端的に言えば経済的自由を得て、生活のための仕事から解放されることです。
では、5,000万円があればFIREも可能なのでしょうか?
詳しく見ていきましょう。
FIREとは?
FIREとは、「Finanncial Independence Retire Early」の頭文字から作られた言葉で、日本語では「経済的自立と早期リタイア」と訳されます。

元々は欧米を中心に流行していた考え方でしたが、近年では日本でも注目されるように。
FIREも従来の早期リタイアも、より自由な生活を送ることを目的として、定年を待たずにリタイアする点は同じですが、FIREの場合は一生暮らすのに困らないような億万長者になることがリタイアの前提ではない点です。

FIREにおける早期リタイアでは、生活費などを減らして投資を増やし、投資による収入(不労所得)を得ることでFIREの実現を目指します。
FIREに必要な資産はいくら?
FIREを実現するために必要な資産は、年間支出の25倍。
これは、アメリカの大学の論文をもとに「4%ルール」が根拠とされ、資産を年4%で運用し、増えた4%分を切り崩して生活すれば、資産が目減りしないという考え方に基づいています。
年間支出(月) | FIREに必要な資産 |
---|---|
100万円(8万3,000円) | 2,500万円 |
200万円(17万円 | 5,000万円 |
300万円(25万円) | 7,500万円 |
400万円(33万円) | 1億円 |
つまり、年間支出200万円(月17万円程)で生活できる場合、5,000万円があれば利回り4%が期待できる投資運用をすることでFIREを実現することができるのです。
ちなみに、FIREには大きく分けて「フルFIRE」と「サイドFIRE」があります。
「フルFIRE」はこれまでの説明のように、仕事を完全に辞めて不労所得だけで生活することを指します。
一方「サイドFIRE」は、不労所得を得ながらもある程度は働いて収入を得ながら生活することを言います。
1億円があればフルFIREができることが先ほどの検証でわかりましたが、
「生活費が月17万円では生活が厳しくなる」
「仕事を辞めてしまうのは、万が一の時に不安」
「せっかく積み立てた退職金がもったいない」
という方は、時短勤務を選んだり、好きな仕事を選んだりと、自由度の高い働き方で収入を得ながら「サイドFIRE」を選択するのもいいですね。
フルFIREはもちろんですが、サイドFIREを選択したとしても、生きるための主な資金は「あなた」ではなく、「お金」が働いて作ってくれますから、精神的余裕が生じるのは言うまでもありません。
効率的に資産を増やせる|運用シミュレーション
基本的に資産運用は、投資金額が多ければ多いほど効果的です。
投資元本の大きさと利益は比例しますので、同じ利回りで資産運用するにしても、少額投資より何倍も高い投資効率で資産運用をすることができるのです。
例えば、1万円と5,000万円を投資した場合、1%値上がりしたときの利益を比較してみましょう。
1万円投資 | 5,000万円投資 | |
---|---|---|
1%値上がりしたときの利益 | 100円 | 50万円 |
同じ1%の値上がりでも、1万円を投資した場合には100円しか受け取れなかった利益は、5,000万円を投資した場合、50万円もの利益を受け取れることが分かります。
またこちらは、利回り別に5,000万円を10年間資産運用した場合のシミュレーションを表と図にしたものです。

利回り | 1年後 | 3年後 | 5年後 | 7年後 | 10年後 |
---|---|---|---|---|---|
1% | 5,050万円 | 5,151万円 | 5,255万円 | 5,360万円 | 5,523万円 |
3% | 5,150万円 | 5,463万円 | 5,796万円 | 6,149万円 | 6,719万円 |
5% | 5,250万円 | 5,788万円 | 6,381万円 | 7,035万円 | 8,144万円 |
7% | 5,350万円 | 6,125万円 | 7,012万円 | 8,028万円 | 9,835万円 |
10% | 5,500万円 | 6,655万円 | 8,052万円 | 9,743万円 | 1億2,968万円 |
5,000万円を利回り1%で運用した場合でも、10年後には523万円もの利益を受けとることができ、利回り高めの7%で運用した場合、10年後には資産が約2倍の1億円近くにもなることが分かりますね。
このように5,000万円という大きな金額で資産運用を行う場合、運用利回りが1%や3%と低くても、効率的に利益を得る事ができる上に、積極的な運用をした場合はより高い利益を期待することができるのです。
結論|精神的余裕やFIREを叶えるために資産運用をするべき
ここまでの解説から結論として、
精神的余裕やFIREを叶えるためにも、5,000万円あったら資産運用をするべきだということがお分かりいただけたはずです。
5,000万円あったら資産運用をするべき理由
- 5,000万円あっても27年しか暮らせない
- 「老後2,000万円問題」は今後2,000万円以上必要になる可能性も
- 超低金利時代で銀行の預貯金では利回りを期待できない
- 銀行の預貯金はインフレの影響を受けるリスクがある
5,000万円で資産運用をするメリット
- 早期リタイア(FIRE)ができる
- 効率的に資産を増やせる
次の章では、5,000万円の資産運用を成功させるコツについてご紹介します。
知らないと損?5,000万円の資産運用を成功させるコツ
この章では、5,000万円の資産運用を成功させるために知っておきたい投資のコツをご紹介します。
投資をこれから始めるという方も、投資の基礎知識ならすでに心得ているという方でも、基礎にしてかなり大切なことですので、今一度初心に戻ってご確認いただければ幸いです。
余裕資金で投資する
投資を行う際は、使い道の決まってない「余裕資金」で投資を運用することが推奨されています。
「余裕資金」とは
余裕資金とは、全体の資金から、日常的に生活で使う資金(生活防衛資金)と、教育や住宅ローン、万が一のときに備えておく資金(準備資金)を差し引いた、今後使う予定のないお金のことを指します。
)
多いので、気になる部分だけを読んでいただければ幸いです。
生活において必ず必要になる資金であり、近い将来出費することが確定している生活費を指します。
一般的にな会社員であれば3ヵ月~半年程度の生活費の合計を指すのが一般的。
仮に毎月の生活費が20万円の人は、最低でも3か月分の生活費である60万円を生活防衛費として貯蓄しておく必要があります。
近い将来(3年以内程度)に出費が確定している住宅の購入や、教育費などの大きな出費のことを指します。
一般的には「月収の6ヵ月分」ほどが目安です。
準備資金は万が一に備える資金なので、生活防衛資金と同様、投資に回すことは推奨されていません。
全体の資金から、生活防衛資金と準備資金を差し引いた額です。
数年以内に使用することが考えられない資金は、貯蓄し続けるよりも資産運用に回す方が効率的。
投資は余裕資金の範囲内で投資商品を選び、効率的に運用していくことが重要です。
余裕資金を適切に資産運用するためには、まずは具体的な余裕資金の額を知ることが大切になります。
投資における余裕資金の計算方法の一例
余裕資金の目安となる金額を計算する方法は以下の通りです。
余裕資金=全体の資金 – (生活防衛資金 + 準備資金)
例)5,000万円の資金があった場合。
毎月の生活費は30万円であり、3ヵ月分の生活費である90万円を生活防衛資金として確保します。
2年後に車の買い替えを考えており、準備資金は300万円です。
この場合の余裕金は4,610万円になります。
5,000万円 – (90万円 + 300万円)= 4,610万円
よって、この例では4,610万円の範囲内で投資を考えるのが理想と言えます。
自分の余裕資金を確認せずに投資を行うことは非常に危険です。
5,000万円が手元にある方も、全て投資をしてしまう前に、ご自身の余裕資金を把握してから投資を始めましょう。
リスクとリターン(利益)の関係を知っておく
投資を始める際には、リスクとリターン(利益)の関係についても知っておく必要があります。
リスクとリターンの関係
投資の世界でリターンとは、「資産運用を行うことで得られる収益」のことです。
一方、リスクとは、「リターンが不確実である(予測できない)こと」を指します。
不確実の度合い(振れ幅)が大きいことを「リスクが大きい」、小さいことを「リスクが小さい」と言い、「リスクが大きい」=「大きな収益が得られるかもしれないし、大きな損失が出るかもしれない」という意味になります。
リスクとリターンは比例する
リスクを抑えようとするとリターンは低下し、高いリターンを得ようとするとリスクも高まります。
したがって、ローリスク・ハイリターン(リスクが低く、リターンが高い)商品は存在しません。
ローリスク・ハイリターンを謳った金融商品は、投資詐欺を疑いましょう。

そうはいっても、低リスクな商品で投資をし続けても、いつまでたっても資産は大きくなりません。
資産を大きくするためには、リスクを減らす対策をし、ある程度は許容していく姿勢も大切なのです。
ではリスクを減らす対策とはどういったものがあるのでしょうか。
それは、「長期・積立・分散投資」にあります。
次で見ていきましょう。
長期・積立・分散投資をする
リスクを減らすための対策は、投資の三大原則「長期・積立・分散投資」にあります。

長期投資とは
長期投資とは、その名の通り、長い時間をかけて金融商品を保有し続け、じっくりと資産形成する方法です。
長く保有すれば、リスクとリターンの振れ幅が小さくなり、安定した収入を得る事が期待できます。
例えば、一時的に資産価値が上昇または下落したとしても、時間をかけて元の価格に戻るケースがよく見られるのです。

TOPIXや証券会社の過去のデータを見ると、金融資産は保有期間が長いほどリスク・リターンの幅が小さく、短期投資は大きいことがわかっています。
そのため、短期的にリターンを得ようとする投機商品(FXや仮想通貨、一部株式など)はリスクも高く、あまりおすすめができません。
積立投資とは
積立投資とは、例えば毎月3万円などといった金額を、定期的に・継続して・コツコツと積み立てていく投資方法です。
積立投資には、定量購入する方法と、定額購入する方法があります。
定量購入 | 例)ある株式を毎月100「株」ずつ購入する方法 |
---|---|
定額購入 | 例)ある投資信託を毎日100「円分」ずつ購入する方法 |
特に、定額で購入する方法は「ドル・コスト平均法」といって、「長期・積立・分散投資」を実施するうえで大きな役割をします。
下の表で、毎月定量購入した場合と、定額購入をした場合の例を比較し、定額購入がどのような役割をするのか見ていきましょう。

定額購入では、購入金額を一定に保つことで価格が下がった時には多くの数量を購入し、価格が上がった時には少ない数量を購入することができます。
結果、長期投資する場合、定量購入した時に比べ、定額購入した時の方が平均購入単価を下げることがわかりますね。
分散投資とは
分散投資とは、投資先や購入する時期を分散させることで、価格の変動を抑え、安定した利益を狙う投資方法です。

多いので、気になる部分だけを読んでいただければ幸いです。
投資商品には様々な銘柄がありますが、それぞれが常に同じ値動きをするわけではありません。
例えば、一般的に株式と債券とでは、経済の動向に応じて異なる値動きをする事が多いと言われています。
こうした値動きの違いに着目して、異なる値動きをする資産や銘柄を組み合わせてリスクの軽減を図ることを、「資産(銘柄)の分散」といいます。
分散投資を実践するうえで、投資先地域の分散も重要です。
投資する対象が存在する国の中には、災害や紛争、政治的要因などによりその地域の金融市場が落ち込む国もあれば、反対に景気がいい国も存在します。
こうした投資対象地域の性質による値動きの違いに着目して、異なる状況にある地域の銘柄や通貨を組み合わてリスクの軽減を図ることを、「国・地域の分散」といいます。
「資産(銘柄)の分散」や「地域の分散」で見てきたとおり、個々の資産や銘柄はその性質に応じて様々な値動きをします。
そこで、長い目で見て一回あたりの投資価格を平均化させていくために、「ドル・コスト平均法」を活用して「時間(時期)の分散」を図ります。
金融商品を定期的に・継続して・一定の金額で購入していく「ドル・コスト平均法」を活用することで、結果として一定の口数を購入していくよりも平均買付価額を低く抑える効果が見込めることが可能です。
長期投資・積立投資・分散投資をすることで、リスクの分散を最大限発揮することができることがわかりました。
複利運用の効果を知っておく
複利運用とは、複利の運用で得た利息を当初の元本にプラスして投資することで、利息が利息を生んでふくらんでいく効果のことを指します。
例えば元本が5,000万円、利回り10 %で10年間複利運用をしたと仮定します。
最初の1年目は5,000万円に対して10%の利息がつきますが、2年目には利息を含んだ5,500万に対して10%、3年目には6,050万円に対して10%・・・と、元本自体が大きくなるため、利益もその分ふくらんでいくというわけです。
ちなみに、運用で得た利息を元本にプラスすることなく毎回受け取り、当初の元本の金額のまま運用する方法もあり、これを「単利運用」と言います。

これをふまえて複利運用と単利運用による10年後の金額を比較をすると、
5,000万円を利回り10%で10年間
→単利で運用した場合:10年後には1億円(元本5,000万円+利息5,000万円)
→複利で運用した場合:10年後には1億2,900万円(元本5,000万円+利息7,900万円)
と、約2,900万円もの差が生まれるのです。
このように、投資運用をする際、単利運用をするよりも複利運用にする方が、より高い恩恵を受けられることがわかりました。
1億円を運用する際に気を付けた方がいいこと
1億円を投資する際に注意したいポイント4つもご紹介します。
怪しい投資話や勧誘に気をつける
ここで、最も代表的な投資詐欺である「ポンジスキーム」の手口を紹介します。
ポンジスキームとは、例えば、以下のような謳い文句で投資話を持ちかけられます。
- 必ず儲かります
- 元本保証です
- 人数限定の投資です
- 極秘情報です
- 年利〇%は確実です など
このような勧誘で、投資家にほとんどリスクを負わせずに高いリターンを約束し、投資をさせます。
そして、後から参加した投資家から集めたお金で、先に参加した投資家にリターンを発生させる投資詐欺のことです。

出資者が集まらなくなるとポンジスキームは破綻し、破綻するタイミングで会社は蒸発。
会社運営者は行方不明になり、全資金を持ち逃げされるのです。
繰り返しになりますが、リスクとリターンは比例します。
「ローリスク・ハイリターン」の投資商品はありません。

つまり、この世に「必ず儲かる」投資商品はないのです。
特に、5,000万円など資産額が大きい人は、銀行や証券会社などの営業マンのターゲットになりやすいので、上記のような謳い文句で近づいてくる投資話には必ず注意が必要となります。
超ハイリスクな商品には手を出さない
FXや仮想通貨、短期売買の株といったギャンブル性の高い投資商品は、高リターンを期待できる一方で、大きく資産を失うリスクも存在します。
商品 | 概要 |
---|---|
株式投資 | 企業が事業資金を集める方法の1つとして発行された「株式」を投資家が購入し、株式の売買や投資先企業からの配当金によって利益を得る方法。 まとまったリターンを狙いにいけますが、投資知識が豊富な方でないと運用は難しいでしょう。 ただし、バリュー株投資は日々の市場変化の影響を比較的受けにくいという特徴があるため、分散投資やご自身の負担軽減という面でも、資金の一部で少しずつ株式投資に挑戦してみるのはいいかもしれません。 |
FX | 外国の通貨を購入し、為替相場の変動によって売買差益を得る方法。 レバレッジという仕組みを活用すれば、少額から高い利益を期待することができるが、かなりのリスクもついてくるのでギャンブル的な要素が高い。 |
仮想通貨 | 紙幣や硬貨のような現物はなく、電子データでのみで取引される実体のない通貨のこと。 短時間での大きな価格変動も珍しくなく、ハイリスク・ハイリターンな商品でギャンブル的な要素がかなり高いのが特徴。 |
秒単位で価格が変動するため、1億円の資産を運用するとなると精神衛生面でもあまり良くはありません。
投資の運用では、超ハイリスクな商品には手を出さず、コツコツと安定した運用を心掛けるようにしましょう。
自己運用にこだわらない
5,000万円という高額資産の運用の際、ご自身の投資知識・経験に自信が持てない場合、株式などの自己判断が強く求められる投資にこだわる必要はありません。
株式投資のウエイトは極力下げ、投資信託やヘッジファンドなどのプロに頼った資産運用にシフトしておいた方が、未熟な投資判断による失敗リスクを軽減できるはずです。
運用コストに気を付ける
投資商品を選ぶ際には、運用コストにも注意をする必要があります。
例えば投資信託の場合。
金融商品を購入するだけで投資のプロにその後の運用をお任せできる投資信託は、最低数千円からと、ヘッジファンドよりも少額から手軽に投資が可能です。
しかし、投資信託では運用成績の良し悪しに関わらず固定の手数料が発生してしまいます。
つまり運営側にとっては利益がマイナスであろうがプラスであろうが、規則的に儲けがあるということです。
投資信託の手数料は主に以下の3つがあります。※スクロールできます
名目 | 購入手数料 | 信託報酬 | 信託財産留保額 |
---|---|---|---|
タイミング | 購入時 | 運用中 | 解約時 |
目安 | 申し込み価格の1~3% | ファンドの日々の純総資産額の年率0.5~2% | ファンド解約時の時価(基準価額)の0.1~1% |
概要と例 | 例)購入手数料3%で販売される投資信託を
100万円分購入した場合、販売手数料は3万円となります。 100万円(購入金額) |
例)目論見論に
「信託報酬はファンドの日々の純資産総額に対し年率1.1%」 と記載されている場合、 日々30円程度の信託報酬が信託財産から差し引かれます。 100万円(保有している投資信託の額) |
例)解約時の基準価格が1万口あたり15,000円、
信託財産留保額の割合が0.2%のファンドを100万口もっていた場合、 信託財産留保額は3,000円となります。 ・保有口数の総額: ・ 信託財産留保額: |
ちなみに、筆者おすすめのヘッジファンドの場合、主な手数料は以下の3種類。
中でも成功報酬はファンドにとって主な収入源となります。
ヘッジファンドの主な収入源
- 申し込み手数料
- 管理手数料
- 成功報酬
ヘッジファンドの成功報酬は運用で出した利益に対して20~50%が決算期に差し引かれます。
投資信託の場合は運用成績がどれだけ悪くても定期的に手数料が差し引かれていくのに対し、ヘッジファンドは主な収入源としている成功報酬を、顧客の利益が出たときのみに受け取ります。
運営サイドになって言い換えると、利益が出ても出なくても定期的に儲けが入ってくる投資信託に対し、ヘッジファンドでは利益が出るほど儲けることができ、逆に利益を出せなければ主な収入源を失ってしまうわけです。
ヘッジファンドの成功報酬は一見、投資信託と比べると高く見えますが、大きな資産を預ける投資家からすると、成功しなければ収入を失う=自然と運用に力が入るヘッジファンドに預ける方が運用コストが良いと言えるのではないでしょうか。
このように、資産運用を始める際には、手数料が引かれても手元に利益が残るだけのリターンを出しているのか、またコストに見合った運用をしてくれるのかを見極める必要があります。
おまけ|資産が1億円になったらどうする?
上手な運用で無事に資産が1億円となり、晴れて富裕層になったら皆さんはどうしますか?

- 仕事をやめて生活をする
- 資産運用をやめる
- 遊んで暮らす
- 高級車を買う
など、夢は膨らみますね。
先の章では、資産が5,000万円あった場合、27年しか生活ができないことが検証でわかりましたが、1億円の場合は何年生活できるのでしょうか。
また、資産が5,000万円の時に比べて、FIREはどのくらいしやすくなるのでしょうか。
このおまけの章で少し解説していきます。
より細かい内容を知りたい場合は、以下の記事を見てみてくださいね!

1億円あったらできること
1億円あったらできることを表にまとめてみました。
何が買える? | 価格 | 何回購入できる? |
---|---|---|
日本一高いスーパーカー「レクサスLFA」 | 相場価格は3,750万円~ | 2台購入しておつりがもらえる |
超高級マンション「六本木レジデンス」 | 相場価格は8,186万円~ | 間取りによっては購入できる |
リッチ目な世界一周旅行 | 1周の費用500万円程度 | 20周行ける |
「もし1億円あったら…」と、誰もが1度は想像するのではないでしょうか?
将来の不安がまったくなければ、豪華な買い物をしてみたいものです。
しかし、これまでの解説を読んだ方は、察していただけるとおもいますが、1億円があったとしても豪華な暮らしをすることは難しいのです。
1億円あっても56年しか暮らせない
「5000万円あっても27年しか暮らせない」の章で紹介した条件で計算式に当てはめて、1億円あったら何年暮らせるのかを検証してみます。
条件:
- 20歳から単身世帯になったとし、
- 持ち家あり
- 娯楽や趣味をあまり楽しまない
- 大きな病気なし
→月15万円でつつましやかに生活をする場合
1億円 ÷ 180万円(平均消費支出15万円×1年) = 約56年
答えは約56年、20歳からだと76歳まででした。
1億円があっても、生活できる期間は日本人の平均寿命85歳まで10年ほど短いことがわかりますね。
「5000万円あっても27年しか暮らせない」の章と同じ条件で計算すると、20歳から日本人の平均寿命の85歳までで1億1,700万円必要です。
現在の年齢 | 85歳まであと | いくら必要? |
---|---|---|
20歳 | 65年 | 1億1,700万円 |
30歳 | 55年 | 9,900万円 |
40歳 | 45年 | 8,100万円 |
50歳 | 35年 | 6,300万円 |
60歳 | 25年 | 4,500万円 |
70歳 | 15年 | 2,700万円 |
80歳 | 5年 | 900万円 |
1億円があっても、豪華な暮らしをしていくのは案外厳しいのですね。
FIREは5,000万円の時よりしやすい?
5000万円で資産運用を行うメリットの章では、年間支出を200万円(月17万円程度)で生活できる場合、5,000万円があれば利回り4%が期待できる投資運用をすることでFIREを実現することができるということを解説しました。
では、1億円がある場合、年間支出額はどのように変化するのでしょうか?
年間支出(月) | FIREに必要な資産 |
---|---|
100万円(8万3,000円) | 2,500万円 |
200万円(17万円 | 5,000万円 |
300万円(25万円) | 7,500万円 |
400万円(33万円) | 1億円 |
1億円がある場合、年間支出額は400万円(月33万円程)と増加します。
5,000万円の時よりは生活費に余裕がでることがわかりましたね。
以下の記事では、「1億円あったら…」についてより詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください!

資産5,000万円をうまく運用して精神的余裕やFIRE生活を実現しよう
5,000万円もの大金を独力で資産運用するのは想像以上に大変です。
特に投資初心者の方や投資の時間が十分に取れないサラリーマンの方は、5,000万円もの資産を自分一人で運用すると、不安や焦りから失敗してしまうことも少なくありません。
ご自身での投資は少額に留め、大きな資産はプロの力を借りるなど、独力での投資とプロにお任せする運用を上手に組み合わせることで、5,000万円運用の手間や精神的ストレスを軽減していけるといいですね。
筆者のおすすめはヘッジファンドをメインにした運用ですが、ご自身に合った投資方法で5,000万円を無理なく資産運用することが第一ということは忘れないでくださいね。

この度投資初心者が、1000万円クラスのまとまったお金を運用する前に絶対に押さえておきたいポイントを外部の先生のお力も借り1記事にギュッとまとめました!
- これからまとまった元本で投資を始めたい方
- 手元の資産の運用法で迷っている初心者の方
投資額の大小に関わらず、役に立つこと間違いなしの記事ですので是非皆様の資産運用の勉強にご活用下さい!