資産3000万円を保有している方の中には、資産運用をするべきかどうか、また預け先をどこにするかなど迷われている方は多いのではないのでしょうか。
資産3000万円を保有している人を「アッパーマス層」と言いますが、資産3000万円を正しく運用することで1億円を達成して「富裕層」へ仲間入りすることも夢ではありません。
本記事では3000万円を1億に増やすおすすめの運用先とポートフォリオ例、そして資産運用をするべき理由まで徹底的に解説しますのでお見逃しなく。
目次
資産3000万円を保有する人の割合
日本で資産3000万円を保有する人の割合はどのくらいなのでしょうか。本章で詳しく見ていきましょう。
資産3000万円を保有している人は「アッパーマス層」
日本で資産3000万円を保有している世帯は「アッパーマス層」に該当します。
階層 | 純金融資産保有額 |
超富裕層 | 5億円以上 |
富裕層 | 1億円以上 5億円未満 |
準富裕層 | 5,000万円以上 1億円未満 |
アッパーマス層 | 3,000万円以上 5,000未満 |
マス層 | 3,000万円未満 |
階層については、野村総合研究所が定期的に行っている純金融資産保有額のアンケート調査で独自に定義をしており、「アッパーマス層」は5階層のうち下から2番目の層に該当します。
資産1億円を保有している人は「富裕層」
日本で資産1億円を保有している世帯は「富裕層」に該当します。
階層 | 純金融資産保有額 |
超富裕層 | 5億円以上 |
富裕層 | 1億円以上 5億円未満 |
準富裕層 | 5,000万円以上 1億円未満 |
アッパーマス層 | 3,000万円以上 5,000未満 |
マス層 | 3,000万円未満 |
野村総合研究所が定義する5階層のうち、「富裕層」は上から2番目の層に該当します。
「アッパーマス層」と「富裕層」の世帯数と割合
そんな「アッパーマス層」と「富裕層」の世帯数とその割合は以下の通りです。
階層 | 世帯数 | 割合 |
超富裕層 | 9.0万世帯 | 0.16% |
富裕層 | 139.5万世帯 | 2.57% |
準富裕層 | 325.4万世帯 | 6.01% |
アッパーマス層 | 726.3万世帯 | 13.4% |
マス層 | 4213.2万世帯 | 77.8% |
合計 | 5413.4万世帯 | 100% |
資産3000万円を保有する「アッパーマス層」の世帯数は726.3万世帯で全体の13.4%と、一定数存在することが分かります。一方の「富裕層」の世帯数は139.5万世帯で全体の2.57%しか存在せず、かなり少数派であることが分かります。
現在資産3000万円を保有している方も、正しく運用することで1億円を達成することが可能。少数派な存在である「富裕層」に属する日もそう遠くはないでしょう。
つづけて資産3000万円を1億円に増やすおすすめの資産運用先を見ていきます。
資産3000万円を1億に増やす運用先4選
では早速、資産3000万円を1億円に増やす運用先を見ていきましょう
ヘッジファンド|年利10%以上の高利回りを狙える
ヘッジファンドは、運用をプロに任せることができるので、投資初心者の方でも始めやすい運用先です。

期待利回り | 10%以上 |
メリット | ・運用を投資のプロに任せられる ・10%以上の高利回りを期待できる ・下落相場にも耐性がある |
デメリット (注意点) |
・最低投資額が高額 ・高額な「成功手数料」が徴収される |
ヘッジファンドは「私募形式」で投資家を募集します。投資家が出資した資金でファンドマネージャーが運用を行い、得た収益を投資家に還元するという仕組みです。
ヘッジファンドのファンドマネージャーは、市場の状況を見て国内外の債券や株式をはじめとする様々な金融商品に分散投資をします。また「私募形式」で運営されるヘッジファンドでは、後ほど解説する「公募形式」で投資家を募集する投資信託では使用を許されていない高度な投資戦略を活用することが可能。
分散投資をすることで「リスクの軽減」を図ることができ、さらには「高度な投資戦略の活用」で上昇相場ではもちろん、下落相場でも収益を得る機会があるため、ヘッジファンドの利回りは10%以上と高利回りを期待することができるのです。
ただしヘッジファンドでは「私募形式」で限られた人数の投資家しか募ることができず、海外の有名ヘッジファンドの最低投資額は億を超えるなど、投資家一人ひとりが負担する出資額が高額になる傾向にあります。ただし日本のヘッジファンドの場合、最低投資額は1000万円~と、海外のヘッジファンドに比べると比較的低額で始められるのが嬉しいポイントです。
またヘッジファンドでは運用成績がプラスになった場合に、プラスになった収益の20-50%の「成功手数料」が徴収されます。成功手数料率が高いため驚かれる方も多いですが、実はこの成功手数料は投資家とファンドマネージャーにとってwinwinの関係にあることを事前に知っておく必要があります。
実は「成功報酬」は、ファンドマネージャーの報酬に直接影響があります。つまり、運用を成功させなければ報酬額が減ってしまい死活問題に関わってくるため、ファンドマネージャーは運用成績がプラスになるための努力を惜しみません。そして投資家は資金を出すからには当然、運用成績はプラスになってほしいはずです。
また「成功手数料」はプラスになった収益から徴収するため基本的にマイナスになることは無く、「成功手数料」が投資家とファンドマネージャーの双方にとってwinwinな関係にあることを事前に知っておくことで「成功手数料」として徴収された額に驚いて短期間で解約してしまい、元本よりマイナスで終わってしまったなどというケースを避け、落ち着いて投資判断を下し、長期的に利益を増やしていくことが可能になるでしょう。
ではここで、筆者おすすめの日本のヘッジファンドの例として「BMキャピタル」をご紹介します。
運用開始 | 2013年 |
投資対象 | ・日本株式 ・債券 など |
投資戦略 | ・バリュー株投資 ・イベント・ドリブン投資 ・アクティビスト投資 |
平均年間 利回り |
10%以上 |
最低投資額 | 1000万円 (1000万円以下も相談可) |
ポイント | ・年平均利回り10%以上 ・マイナスを出した年ゼロ ・資産価値は6年で2倍 |
2013年に運用を開始した「BMキャピタル」は、
- 年平均利回り10%以上
- マイナスを出した年ゼロ
- 資産価値は6年で2倍
と、好成績を記録している日本のヘッジファンドです。
そんなBMキャピタルの好成績の秘密は、本来の企業価値よりも株価が割安になっている日本株式への「バリュー株投資」にあります。
バリュー株投資とは、株価が本来の企業価値よりも下がっていると判断された銘柄に投資をします。その後、正しい企業価値が反映された際に株式を売ることで大幅な値上がり益を狙うことが可能な投資戦略です。
バリュー株投資では、株価が下がりきっていてこれ以上の損失リスクが少なく、またBMキャピタルのファンドマネージャーによる徹底的な企業分析によって今後値上がりする可能性のある銘柄のみに投資をするため、高い確率で収益を狙うことが可能。
またBMキャピタルの最低投資額も1000万円~と海外の有名ヘッジファンドと比べると比較的低額なので、資産を3000万円保有している方にとっても始めやすい運用先だと言えるでしょう。
BMキャピタルについてより詳しい情報を知りたい方は、公式HPから無料でお問合せ・資料請求が可能です。

投資信託|世界への分散投資が可能
投資信託もヘッジファンド同様、運用をプロに任せることができるので、投資初心者の方でも始めやすい運用先です。

期待利回り | 3-4% |
メリット | ・運用を投資のプロに任せられる ・最低投資額は100円~と手軽 ・馴染みのある証券会社や銀行にて購入可能 |
デメリット (注意点) |
・下落相場では利益を上げづらい ・運用成績に関わらず毎日手数料を徴収される |
投資信託もヘッジファンド同様に、投資家が出資した資金でファンドマネージャーが運用を行い、得た収益を投資家に還元するという仕組みです。
ただし投資信託では「公募形式」で不特定多数の投資家から出資を募るため、投資家一人ひとりが負担しなくてはいけない出資額が少額に抑えることが可能。最低投資額は100円~と手軽に出資ができるという特徴があります。
またSBI証券や楽天証券、三菱UFJ銀行などといった馴染み深い証券会社や銀行にて購入が可能。一度証券会社や銀行が目を通した商品ですので、安心して購入ができる点は最大のメリットと言えるでしょう。
ただし、投資信託の実に8-9割が日経平均株価やTOPIXなどのインデックス指標の数値を連動させることを目標として運用をしているため、これらのインデックス数値が下がるとともに運用成績もマイナスになってしまう傾向にあります。
またヘッジファンドとは異なり、投資信託では「公募形式」で運用しているため高度な投資戦略の活用も原則許されておらず、実質、大部分の投資信託でインデック指標がプラスになった時にのみ運用成績がプラスになるということに。そのため投資信託の期待利回りは3-4%と、ヘッジファンドと比べるとやや低めになります。
また投資信託では「信託報酬」といって、運用成績に関わらず投資信託の運用や管理に対して毎日徴収される手数料があります。信託報酬率は保有額の0.5~2.5%ほどですので少なく感じるかもしれませんが、長期的な目で見たときには結果的に大きな影響を受ける可能性も。
投資信託での運用を始める前にはできるだけ信託報酬率が低いファンドを慎重に選ぶと良いですね。
投資信託についての詳しい内容は以下の記事でまとめていますので、是非参考にしてください。

個人向け国債|「元本確保」で安心の運用
個人向け国債は「元本確保」な金融商品なので、安心して運用をすることが可能です。

金利の下限 | 0.05% |
メリット | ・満期まで待てば元本全額が戻ってくる (運用から1年経てば途中解約しても元本はそのまま戻ってきます) ・1万円から出資可能なので手軽に始められる |
デメリット (注意点) |
・金利が低くお金が増えて行きづらい ・発行元が破綻した場合は元本割れの可能性がある (ただし発行元は国(日本)のため破綻する可能性は低い) |
国の資金調達を目的として発行する債券を「国債」といい、なかでも個人投資家向けに発行される「個人向け国債」は1万円からの出資が可能なので手軽に始められるという特徴があります。
個人向け国債は「固定3年」と「固定5年」の場合は年に2回、「変動10年」の場合は発行月及び発行月の半年後の1回、利息を受け取ることが可能。また個人向け国債は「元本確保」の金融商品となっており、発行元が破綻しない限り、運用開始から1年経てば途中解約をしても元本はそのまま戻ってきます。国債の発行元は国、すなわち日本です。日本が破綻する可能性はかなり低いため安心して運用をすることができるでしょう。
ただし、安心して運用ができる代わりに個人向け国債の金利は1%にも満たしませんので、お金が増えて行きづらいという点はデメリットとして挙げられるでしょう。現在(2023年10月時点)募集されている個人向け国債の表面金利は以下の通り。
個人向け 国債 |
満期 | 表面利率 |
変動10年 | 10年 | 0.51% |
固定5年 | 5年 | 0.33% |
固定3年 | 3年 | 0.09% |
現在募集されている個人向け国債で500万円を運用した場合、受け取れる利息のをシミュレーションした結果が以下の通りです。
個人向け 国債 |
満期 | 受取利子合計 (税引前) |
変動10年 | 10年 | 12750円 |
固定5年 | 5年 | 82500円 |
固定3年 | 3年 | 13500円 |
(シミュレーション:財務省|受取利子シミュレーション)
このように、500万円という大きな額を長期間運用してもあまり大きな利子を期待できないことが分かります。個人向け国債は「資金を増やす」という目的というよりも「資金を保護する」という目的でポートフォリオに取り入れると良いでしょう。
個人向け国債についての詳しい内容は以下の記事で解説していますので、是非参考にしてください。

株式投資|初心者向けの手法で値上がり益を狙う
株式投資は、企業が発券している株式を投資家が直接売買をし、配当金や株主優待、売却益から利益を得ます。

期待利回り | 4-5% |
メリット | ・手数料などのコスト削減ができる ・配当金や株主優待、売却益から利益を得られる ・投資・金融・経済などの知識を付けられる |
デメリット (注意点) |
・すべての運用を自分で行う必要があるため手間がかかる ・豊富な知識と経験が必要になるため、 始めたばかりは運用が安定しない可能性がある |
株式投資では、企業が資金調達のために発行した「株式」を投資家が購入することで、投資家は「株主」となります。株主となった投資家は、株式を保有していることで得られる「配当金」や「株主優待」を得ることが可能。また買った株式を売ることで「売却益」を得ることも可能な魅力的な運用先です。
また手数料は株式を売買する時に徴収される「売買手数料」のみですので、ヘッジファンドや投資信託のような「管理」や「運用」に対する手数料が別途かからず、コストを削減できるという点もメリットとして挙げられるでしょう。
ただし株式投資では、「管理」や「運用」に対する手数料が別途かからない代わりに、豊富な知識と経験を活用して投資家自身で全ての運用を行う必要があるため、手間がかかる・運用を開始したばかりの頃は運用が安定しない、といった点には注意が必要です。
ヘッジファンドや投資信託の場合、プロに運用を任せられるとは言え、投資家も投資や金融、経済に関する最低限の知識は必要になります。またその知識の差で投資判断を左右することもあるでしょう。投資判断を下す際に失敗をしないためにも勉強の意味合いもかねて、出資金の一部を株式投資に取り入れられると良いですね。
株式投資については以下の記事で詳しく紹介しています。おすすめの投資手法も紹介していますので、是非参考にしてください。

資産3000万円を1億に増やすポートフォリオ例公開
ではここで、3000万円を1億円に増やすポートフォリオ例を公開します。
資産3000万円を1億に増やす運用ポートフォリオ例
積極的・かつ安定的に1億円を目指したいのであれば、まずはヘッジファンドと投資信託の2つに絞って運用を始めましょう。

運用先 | 出資割合 | 出資額 |
ヘッジファンド | 約67% | 2000万円 |
投資信託 | 約33% | 1000万円 |
下落相場にも強いヘッジファンドには資金の2/3を出資をし、積極的に利益を得る機会を増やします。また投資信託では、ヘッジファンドで投資対象としていない運用先に分散投資をすることでさらなるリスクの軽減を図ることが可能。
まずはヘッジファンドと投資信託の2つの運用先に絞り、利益獲得とリスク分散ができれば安定的に1億円を目指すことができるでしょう。
1億円達成したらハーバード大学の運用ポートフォリオを参考にしよう
本来であればより多くの運用先に「分散投資」をすることが望ましいとされています。ヘッジファンドと投資信託での運用で1億円に達成した際には、ハーバード大学基金のポートフォリオを参考に分散投資をすると良いでしょう。
実は、全米大学基金の中でも優れたエンダウメント投資を行っているのが「ハーバード大学基金」。
エンダウメント投資とは?
主に卒業生や父兄などの寄付で築いた大学の巨額資産を「投資のプロ」の手にゆだねて大きく増やし、高等教育機関に必須の質の高い教授陣、イノベーションを育む施設群、優秀な学生を確保するための給付型奨学金の原資など、大学を持続的に発展させるお金を確保することが目的の活動である。
(引用:大和ネクスト銀行)
「2019年NACUBO-TIAA大学基金調査」によると、2019年度の大学基金投資の利回りは平均5.3%。しかし、ハーバード大学基金の運用会社設立以来の平均利率は約11%の高さで、他の大学に比べていかに優れた運用をしているかが分かります。
そんな優れた運用をしているハーバード大学基金では、多くの運用先に分散投資を行っており、また株式や債券といった「伝統的資産」よりも、その他の資産クラス「オルタナティブ投資」に多くの出資していることが分かります。また「オルタナティブ投資」の中でも、ヘッジファンドにも多くの出資をしており、ヘッジファンドへの信頼度がいかに高いかが伺えます。

資産クラス | 出資割合 | リターン率 |
私募 | 34% | 77% |
ヘッジファンド | 33% | 16% |
公開株式 | 14% | 50% |
現金 | 8% | ー |
不動産 | 5% | 13% |
債券 | 4% | 3% |
天然資源 | 1% | 1% |
その他不動産 | 1% | 1% |
合計 | 100% | 34% |
(出典:Harvard Magazine)
3000万円の資産が1億円に増えた際には、このハーバード大学基金のポートフォリオを参考に、以下のようなポートフォリオで運用すると良いでしょう。

運用先 | 出資割合 | 出資額 |
ヘッジファンド | 60% | 6000万円 |
投資信託 | 25% | 2500万円 |
個人向け国債 | 10% | 1000万円 |
株式投資 | 5% | 500万円 |
資金が3000万円の時のポートフォリオでは積極的にお金を増やしていくポートフォリオでしたが、資金が1億円に達したポートフォリオでは「資金の保護」を目的として個人向け国債を、そして投資・金融・経済などの「知識付け」を目的として株式投資を追加をしました。
またヘッジファンドの出資割合を60%に増やすことでさらなる利益の獲得を目指し、冒頭で解説した野村総合研究所が定義する1億円を保有する「富裕層」よりも上の段階である「超富裕層」を目標とするのも良いでしょう。
資産3000万円を運用して1億に増やすには何年かかる?
ここで、先ほどご紹介した資産3000万円を1億に増やすポートフォリオで実際に運用すると、何年で1億円を達成するのかシミュレーションしてみました。
運用先 | 出資割合 | 出資額 |
ヘッジファンド | 約67% | 2000万円 |
投資信託 | 約33% | 1000万円 |
利回りはヘッジファンド10%、投資信託3%が継続したと仮定し、また複利運用で計算しています。
出資先 | 出資額 | 5年後 | 10年後 | 15年後 | 16年後 |
ヘッジファンド | 2000万円 | 1221万円 | 3187万円 | 6354万円 | 7189万円 |
投資信託 | 1000万円 | 159万円 | 343万円 | 557万円 | 604万円 |
元本+ 受け取れる利息 |
3000万円 | 4380万円 | 6531万円 | 9912万円 | 1億794万円 |
(計算:ke!san)
シミュレーションの結果、16年で1億円達成することが分かりました。
いかがでしょうか?意外と短期間で達成できると驚いた方も多いのではないでしょうか。実際には市場の値動きによって毎年の利回りには波があるため1億円達成にはもう少し時間がかかる可能性もありますが、ヘッジファンドに多くの資金を出資したことで積極的に利益を得ることができていることが分かりますね。
ここまでは、資産3000万円のおすすめの運用先やポートフォリオ例、そして実際にそのポートフォリオで運用した場合、1億円に達成するまでのシミュレーションを解説してきました。次の章からは、資産3000万円があっても資産運用をするべき理由や、資産1億円が達成したらできること、さらには資産運用のコツまでも解説してきます。
資産運用をするべき理由
記事の冒頭では、資産3000万円を保有する世帯は「アッパーマス層」に該当し、世帯数は726.3万世帯で全体の13.4%と一定数存在するとの解説をしました。とはいえ、資産3000万円を保有しているという事実は簡単に達成できるものではなく、一般的には「お金持ち」と言えるのではないでしょうか。
そんな3000万円を保有する方たちの中には「資産3000万円あれば老後資金は十分だ 」「銀行の預貯金で安全に保管しておけば安心だ」などと思っている方も多いと思います。
しかし、これは完全な誤解。資産が3000万円あっても老後資金は不足する可能性が高いですし、インフレが進む現在、銀行の預貯金だけでお金を管理するのは危険です。
ではなぜこんなにも大きな額を保有しているにも関わらず、資産運用を行う必要があると言われるのか、この章で徹底解説していきます。
それでは詳しく見ていきましょう。
老後資金は3000万円では足りない可能性がある
皆さんは、2019年に話題となった「老後2000万円問題」を覚えていますでしょうか?
少し前の話題ですので詳しく解説すると、2019年に金融庁の金融審議会「市場ワーキング・グループ」の報告書にて以下の試算が公開されました。
収入と支出の差である不足額約5万円が毎月発生する場合には、20 年で約 1,300 万円、30 年で約 2,000 万円の取崩しが必要になる。
引用:金融審議会|市場ワーキング・グループ報告書
この試算のモデルケースとなったのは、1ヵ月あたり公的年金などの収入が20.9万円に対して26.3万円の支出のある高齢夫婦無職世帯。
1か月の支出 | 26.3万円 |
1か月の収入 | 20.9万円 |
差額 | 約5.4万円 |
このモデルケースの場合、1か月あたり約5万円の不足が生じることになり、老後が20年だった場合は1300万円、30年だった場合は約2000万円の不足金を公的年金以外の収入で補う必要があるとの試算が発表され、「老後2000万円問題」として大きな話題を集めたのです。
しかし、この試算が発表されてから間もなく5年。コロナウイルスのパンデミックに続き、ロシアによるウクライナ侵攻の影響により世界的に加速するインフレの影響で、今後不足金は2000万円を超えるとの試算も指摘されています。
当時の年金収入が続くとして現在の物価高を当てはめた場合、1か月あたりの公的年金などの収入20.9万円に対して、支出は27.5万円に。
1か月の支出 | 26.3万円 |
1か月の収入 | 27.5万円 |
差額 | 約6.6万円 |
その場合、不足金は1か月あたり約6.6万円にものぼり、老後20年では約1600万円、30年では約2400万円もの不足金を公的年金以外の収入で補う必要があることが分かったのです。
ちなみに、2019年の試算のモデルケースの1か月の収入と支出の内訳は以下の通り。
支出 | 収入 | ||
食料 | 6万4444円 | 年金など 社会保障給付 |
19万1880円 |
住居 | 1万3656円 | 勤め先収入 | 4232円 |
光熱・水道 | 1万9267円 | 事業収入 | 4045円 |
医療 | 1万5512円 | その他 | 9041円 |
交通・通信 | 2万7576円 | ||
教養娯楽 | 2万5077円 | ||
税金や 社会保険など |
2万8240円 | ||
その他 | 6万9946円 | ||
支出合計 | 26万3718円 | 収入合計 | 20万9198円 |
(参考:朝日新聞)
これを見て2019年当時の物価高を考慮したとしても、居住や医療、娯楽も含め全体的に支出がかなり少ないことにお気づきの方も多いはず。
一般的には都心に住んでいる方の場合、賃貸住宅に住んでいる方は住居費はよりかかることが予想されますし、田舎暮らしに比べると物価も高くなる傾向にあります。また年齢を重ねるごとに病院にお世話になる回数も増えると医療費はかかりますし、孫や子供に贈り物をしたり、お友達と趣味を楽しんだりといった老後の生活を考えると、当時の物価高でも実際には不足金2000万円では足りない気もします。
現在の物価高に当てはめたとしても、モデルケースの支出がかなり少ないものから試算をして2400万円の不足ですので、老後資金はやはり3000万円でも不足すると言えるのではないでしょうか。
銀行の預貯金運用ではお金は増えていかない
現在銀行の普通預金の金利は0.001%で、定期預金の金利は0.002~0.25%%程度です。
3000万円を1年間預けた場合、普通預金では300円、定期預金では600円~75000円の利息しか受け取れないということ。
普通預金 | 定期預金 |
300円 | 600円~75000円 |
「300円でも受け取れればいいのでは?」と思った方は要注意。銀行の預貯金ではインフレの影響を受けてお金の価値が減っていく可能性もあります。
インフレの影響でお金の価値が減っていく可能性がある
現在、コロナウイルスのパンデミックやロシアによるウクライナ侵攻の影響により、世界的にインフレが進んでおり、これは日本も例外ではありません。日本の消費者物価指数は2022年の年末に前年同月比4%にも上昇。2023年に入ってからも前年同月比3%台を維持。
一般的にインフレではお金の価値よりもモノの価値が上がり、物価上昇率が1%上昇するとお金の価値は1%下がることになりますが、お金の価値が下がらないためにはインフレ上昇率以上の利回りで資産運用をする必要があるということになります。
ちなみに日本銀行では物価目標を前年比2%としていますので、以下の表で物価上昇率2%が続いている状況で利回り2%、3%、4%、5%、10%が期待できる運用先に3000万円を20年間預けた場合を見ていきます。
期待利回り | 2% | 3% | 4% | 5% | 10% |
実質利回り | 2-2=0% | 3-2=1% | 4-2=2% | 5-2=3% | 10-2=8% |
5年 | 3000万円 | 3150万円 | 3300万円 | 3450万円 | 4200万円 |
10年 | 3000万円 | 3300万円 | 3600万円 | 3900万円 | 5400万円 |
20年 | 3000万円 | 3600万円 | 4200万円 | 4800万円 | 7800万円 |
すると、インフレに負けずにお金の価値を維持したい場合には2%の利回りが期待できる運用先に、お金の価値を増やしたい場合は3%以上の利回りが期待できる資産運用先で運用する必要があるということが分かりました。
銀行の預貯金の金利は1%にも満たず、預けているうちにお金の価値が減っていく可能性もあるので、資産3000万円を銀行の預貯金だけで運用するのはおすすめできないのです。
資産が多くても安全な未来とは限らない
また、資産が3000万円があっても安全な未来が待っているとは限りません。
繰り返しにはなりますが、近年ですとコロナウイルスによるパンデミックやロシアによるウクライナ侵攻などが挙げられますが、その影響による世界的なインフレにより、私たちの生活も明らかに苦しくなっているのが現実です。
一昔前まで経済大国と言われていた南米アルゼンチンの8月の消費者物価指数は前年比124.4%も上昇。10日間で400円だったアイスクリームが800円になるなど、モノの価格が2倍になるような現象が発生し、それに影響して集団略奪行為が多発しているそうです。
「お金がすべてではない」ことはもちろんではありますが、日本でもこのような事態になる可能性がゼロではない限り、資産運用などの対策をしていく必要はあるのです。
1億円を達成したらできること
ではここで、資産3000万円を運用して1億円を達成したらできることをご紹介します。
夢の「富裕層」になれる
まずは資産が1億円を達成した場合「富裕層」に属することができますね。
階層 | 純金融資産保有額 |
超富裕層 | 5億円 |
富裕層 | 1億円以上 5億円未満 |
準富裕層 | 5,000万円以上 1億円未満 |
アッパーマス層 | 3,000万円以上 5,000未満 |
マス層 | 3,000万円未満 |
「富裕層」は全体の2.57%の割合なので、少数派のうちの1人となることができるのです。
運用ポートフォリオの幅を広げられる
そして資産が1億円を達成した場合、先ほどご紹介したポートフォリオのような分散投資先の幅を広げることができます。

運用先 | 出資割合 | 出資額 |
ヘッジファンド | 60% | 6000万円 |
投資信託 | 25% | 2500万円 |
個人向け国債 | 10% | 1000万円 |
株式投資 | 5% | 500万円 |
ちなみにこのポートフォリオで1億円を25年間運用をした場合、資産の増え方をシミュレーションをして見てみました。
出資先 | 出資額 | 5年後 | 10年後 | 15年後 | 20年後 | 25年後 |
ヘッジファンド | 6000万円 | 3663万円 | 9562万円 | 1億9063万円 | 3億4364万円 | 5億9008万円 |
投資信託 | 2500万円 | 398万円 | 859万円 | 1394万円 | 2015万円 | 2734万円 |
個人向け国債 | 1000万円 | 16万円 | 16万円 | 16万円 | 16万円 | 16万円 |
株式投資 | 500万円 | 108万円 | 240万円 | 400万円 | 595万円 | 832万円 |
元本+ 受け取れる利息 |
1億円 | 1億4186万円 | 2億678万円 | 3億875万円 | 4億6992万円 | 7億2592万円 |
(計算:ke!san)
※個人向け国債を除き複利運用で計算
(個人向け国債:受取利子シミュレーション)
固定5年 第 151 回債の利子の受け取り額を算出
その結果、10年で2億5000万円を超え、15年で4億円弱にもなることが分かりました。そして25年で7億円を超え、このころには「超富裕層」に属することに。
ポートフォリオの分散投資の幅を広げることで、リスクの分散を図りつつも効率良い資産運用をすることができるのです。
早期リタイア(FIRE)達成が近づく
資金が増えれば近年話題の早期リタイア(FIRE)の達成も近づくでしょう。
FIREとは「Financial Independence, Retire Early」の頭文字を取ったもので、「経済的自立と早期リタイア」を意味しています。
定年退職を待たずに早期退職をする点では「FIRE」も通常の「早期リタイア」も同じですが、億を超える一生分の生活費を稼いだ後、リタイア後はこれを切り崩して生活をする通常の「早期リタイア」とは異なり、「FIRE」では年間支出の25倍の資金を年間4%の利回りが期待できる資産運用先で運用することで、リタイア後はその利息で生活をするという特徴があります。
FIREの仕組みをもう少し分かりやすく説明すると、あなたの年間支出が400万円だったとしましょう。その場合、FIREを叶えるためには25倍の資金、つまり1億円の資金を4%の利回りが期待できる資産運用先で運用した場合、400万円の利益を得られることになりますから、この利益で生活費を補うことでFIREは叶うということなのです。
年間支出が400万円の場合、月の生活費は33万円ですから、独身または子供のいない夫婦であればFIREを叶えてそれなりに生活が上手く回るのではないでしょうか。
参考までに、以下の表は年間支出の額によってFIREに必要な資金額をまとめたものです。
年間支出額(月間) | FIREに必要な資金 |
400万円(33万円) | 1億円 |
600万円(50万円) | 1億5000万円 |
800万円(67万円) | 2億円 |
1000万円(83万円) | 2億5000万円 |
ちなみに生活費にもう少し余裕を持ちたいという場合は、
- FIREに必要な資金を増やす
- 5%以上の利回りが期待できる運用先で資産運用をする
といった方法がありますね。どちらを叶えるにも、先ほどご紹介した運用先の中であれば年間10%以上の利回りを安定的に期待できる「ヘッジファンド」での運用が現実的ではないでしょうか。
資産3000万円を運用して1億円に増やすコツ
ではここで、資産3000万円を運用して1億円に増やすコツを3つご紹介します。
詳しく見ていきましょう。
資産運用は「余裕資金」で
まず資産運用を始める前に、ご自身の資金を「生活費」「生活防衛費」「余裕資金」の3つに分けます。
- 生活費:
普段の生活で使う資金 - 生活防衛費:
近い将来使い道が決まっている資金・万が一の時に備える資金 - 余裕資金:
全体の資金から「生活費」と「生活防衛費」を引いた、使い道の決まっていない資金
資産運用は、使い道が決まっておらず、かつ損失が出ても生活に影響のない「余裕資金」で行うことが推奨されています。
ポートフォリオは「分散投資」で組む
そしてポートフォリオは「分散投資」を意識して組みましょう。
例えば株式と債券、円とドル、アジアと欧州など、特性の異なる「資産・銘柄」と「地域」に分散投資をし、これに加えて積み立て投資をすることで「時間・時期」の分散を図ることで、リスクを最大限回避することが可能になります。
リスクの許容範囲を知っておく
また投資を行う際には、ご自身のリスクの許容範囲を把握しておく必要があります。
投資はリスクとリターンが比例します。

銀行の預貯金などの運用先は「元本保証」で、最もリスクが低いとされています。そのため安全に運用ができるという点は非常に魅力的ではありますが、リターン(利回り)が良くないためなかなかお金は増えて行きません。
反対にFXや仮想通貨は、短期間でかなりのリターン(利益)が見込める点で魅力的な運用先ではありますが、損失をすると元本以上のマイナスを出してしまう可能性のある非常にハイリスクな運用先でもあります。
投資を行う際にはリスクの高さやリターンの高さだけに目を向けるのではなく、「ご自身がどのくらいまでリスクを許容できるか」を見極めてからご自身に合った運用先を選択する必要があるのです。
資産3000万円の運用に関するよくある質問
最後に、資産3000万円に関する2つの質問について答えていきたいと思います。
Q1. 資産3000万円あったら何年暮らせる?
総務省の家計調査報告と家計調査 家計収支編によると、現役世代と老後無職世帯の内、単身世帯と2人世帯以上の年間支出額は以下の通りでした。
現役世代 | 老後無職世帯 | |||
世帯 | 単身 | 2人世帯以上 | 単身 | 2人世帯以上 |
年間支出 | 約294万円 | 約488万円 | 約185万円 | 約363万円 |
資産3000万円 あったら 何年暮らせる? |
約10年 | 約6年 | 約16年 | 約8年 |
その結果、資産3000万円があっても、長くても約16年、短いと約6年しか暮らすことができず、資産3000万円という額は生活していくための資金としては「足りない」ということが分かりますね。
Q2. 資産3000万円で早期リタイア(FIRE)はできる?
「1億円を達成したらできることの章」でFIREについての詳しい概要は説明しましたのでこちらでは省きますが、FIREをするための資金を3000万円と設定した場合、年間の生活費は120万円に抑える必要があります。
年間支出額(月間) | FIREに必要な資金 |
120万円(10万円) | 3000万円 |
生活費を1か月あたり10万円程度で抑えられ、かつ4%以上の利回りが期待できる運用先で資産運用をできる方を除き、資産3000万円でのFIREは厳しいと考えても良いでしょう。
資産3000万円の運用まとめ
結論をお伝えすると、資産3000万円は切り崩して生活するには「少ない額」です。資産3000万円は正しく運用をすることで1億円に増やして「富裕層」の仲間入りを果たし、余裕のある生活を目指してみるのはいかがでしょうか。
効率良く利益を得られる運用先としては当記事でもご紹介した「ヘッジファンド」がおすすめですが、以下の記事ではそんなおすすめのヘッジファンドをランキング形式でご紹介していますので、是非チェックしてみてください。

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投資額の大小に関わらず、役に立つこと間違いなしの記事ですので是非皆様の資産運用の勉強にご活用下さい!