今さら聞けないヘッジファンドとは?徹底解説!
世界の金融市場に大きなインパクトを与えるヘッジファンド。
ニュースなどでも、ヘッジファンドの影響により株価が乱高下した等の報道がよくされますよね。
今回はヘッジファンドの歴史や実態、代表的な投資手法や投資メリットデメリット、今おすすめの国内ヘッジファンドまでこの記事1本に簡単にわかりやすくまとめました。
ヘッジファンドとは何か詳しく知りたい方はこの機会をお見逃しなく!
- ヘッジファンドとは元々資産を守るために生まれたもの
- 日本にも年利10%超えの優秀なヘッジファンドがある
目次
ヘッジファンドとは?
ヘッジファンドとは、投資者からの出資を受け、高度な投資手法を駆使して市場環境に関わらず常に利益を追求する運用を行う投資のプロ集団です。

投資者がプロに運用を任せられる点で投資信託ファンドと似ていますが、投資家からの資金の集め方や投資手法の種類、運用方針や手数料の面などに違いがあります。(下の章で解説します。)
ヘッジファンドの由来
ヘッジファンドのヘッジとは「リスクヘッジ」の言葉でわかるように、リスクに対する予防線(バリア)を張っておくこと。
元々はヨーロッパの王族らが自身の財産を後世に残すため「減らさないよう」運用をしたのがヘッジファンドの始まりと言われています。
現在のようなヘッジファンドの形が確立し、一般の投資家にも知られるようになったのは1990年頃からで、アメリカを中心にその勢力と人気を拡大してきました。
今では「積極的な運用で圧倒的なリターンを出す組織」というイメージが先行しているヘッジファンドですが、徹底的なリスク管理を基本に取引・運用していることは忘れてはいけません。
運用に失敗し顧客に大損をさせてしまったファンドは、ヘッジファンドに本来期待されている役割を果たしていないと評価を受け、顧客離れに繋がるでしょう。
このように攻めだけの投資ではなく、守りに対しても積極的なのがヘッジファンドの特徴であり投資のメリットでもあるんです。
金融市場におけるヘッジファンドの役割
ヘッジファンドの規模は日本の年金機構であるGPIFの150兆円を上回る300兆円とも言われ、相場に与えるインパクトはかなり巨大なものとなります。
そのため、ヘッジファンドが一気に舵を切ると相場が乱高下することもあります。
ヘッジファンドについては、利益を得るためなら少々手荒い手法を使ってでも積極的に投資していく一部のハゲタカファンドの存在のために、「相場を荒らす者」と表現されることもよくあります。
一方、相場では実態価値と相場での評価に乖離があることも多く、その隙をヘッジファンドが狙って本来の価値通りの評価になるようただす働きをすることもあります。
ヘッジファンドの特徴と投資のメリット
続いては、ヘッジファンドが具体的にどんな特徴を持った投資先なのか、類似の投資信託と比較しながら分かりやすくご説明します。

1.投資できる人数が限られている(出資者を限定)
皆さんに親しまれている投資信託は、不特定多数の出資者から広くお金を集めることができる「公募」という形式をとっています。
公募では多くの人から出資を募るため、投資家一人あたりの投資額が少なく済み、中には100円から購入できるなど簡単に投資を始めることが出来ます。
一方のヘッジファンドは、限られた人からのみ出資を受ける「私募」形式を取っており、ある程度潤沢な資産がある投資家からの出資に限定され、私募ファンドにつき日本では2人~49人までの出資に限られています。
私募ファンドのヘッジファンドは投資のハードルが高く一見デメリットと思われがちですが、出資者が限定されているため駆使できる投資手法の規制が緩く、投資信託よりも柔軟かつ迅速な対応が取りやすいというメリットがあります。
2.絶対収益を方針とした運用
ヘッジファンドでは、相場の良し悪しに関わらずどんな状況でも利益を最大限追求する「絶対帆収益」の方針に基づいて運用されています。
一方の投資信託では「相対収益」と言って、市場のベンチマーク(日経平均やTOPIXなどの指標)を上回る運用を目標としています。
言い換えれば、相対収益の投資信託の場合、ベンチマークが下落していてもそれを上回ってさえいれば良しとされてしまうという事です。
ヘッジファンドが相場環境に関わらず積極的にリターンを狙える理由は、既出のように投資信託よりも柔軟な投資手法を使うことができ、尚且つい運用についての意思決定と対策が迅速に行えるためです。
投資信託のように多くの人から出資を募るファンドの場合、金融庁からの厳しい規制が敷かれているため投資手法も限定的になってしまうんですね。
ヘッジファンドの「絶対収益」は、下落相場でも必ず利益を出せることを意味するものではありませんが、投資信託よりも多種多様なテクニックを駆使できるヘッジファンドでは下落相場でもリスクを最大限回避した運用が期待できるでしょう。
3.投資効率の良い手数料体系
投資信託では運用成績の良し悪しに関わらず、ファンドの購入時、保有期間中、解約時の3つのタイミングで手数料が発生します。
ヘッジファンドでも同じく、購入時・保有期間中に手数料が発生するのが一般的ですが、手数料の大きな割合を占めるのは、まとまった利益が出た時にのみ手数料が発生する「成功報酬」である点に違いがあります。
この仕組みを採用するヘッジファンドは、利益が出ればファンド側も儲けることができますし、逆に運用で成果を出さなければ主な収入源を失ってしまうわけですから、自然と運用にも力が入ります。
ヘッジファンド投資におけるデメリット
ヘッジファンドに投資するデメリットは、投資ハードルが高くなりがちである点でしょう。
1.最低投資額が高額
ヘッジファンド投資のハードルが高い一番の理由は、最低投資額が高いこと。
出資を受けることの出来る人数に制限があるため、1人あたりの出資額が多くなければファンドの運用ができなくなってしまいます。
よって仕方がないことではありますが、アメリカ籍の著名なヘッジファンド等では最低投資額が億以上のものが多かったり、そもそも紹介がないご新規様は門前払いだったりと、一般投資家にはなかなか手が出しづらい面もあります。
2.ロックアップ期間を過ぎるまで解約できない
ヘッジファンドには、一般的にロックアップと呼ばれる解約ができない期間が設定されているのもデメリットの一つです。
ヘッジファンドでは1人あたりの資産負担額が高いために、1人が解約すると持っているポジションを解消せざるを得なくなったりと、運用に何かと弊害が起こります。
そのためいつでも解約自由としてしまうと、ファンドマネージャーはある程度の現金を常に用意しておかなければならず、投資に回せないお金が出てきてしまうのでその分リターンも望めません。
つまり、ロックアップ期間を設定することによって出資金を無駄なく運用に回すのと同時に、不利なタイミングでのポジションを手放す(売る)ような事態を防いでいるんですね。
このようにロックアップ期間(大体3か月~半年)を過ぎないと解約できない点ではデメリットになりますが、運用効率を考えた上では投資者も協力しないといけない部分でもあります。
3.契約するには直接やり取りする必要がある
「私募」という性質上、主要金融機関等ではほとんど取り扱いのないヘッジファンド。契約するには直接問い合わせて説明を聞き、同意できれば契約~入金という流れになります。
特に海外の著名ヘッジファンドに投資をする場合、やり取りは英語が基本になります。
英語に自身がない方は難しい金融用語を英語で説明されてもわからないというケースも多く、通訳をしてくれる仲介業者を挟めばその分手数料も発生してしまいますよね。
日本国内のヘッジファンドでも、直接問い合わせして契約する形に変わりはありませんが、時差も言葉の壁もないのでそこは大きな問題にはならないかもしれませんね。
さて、ヘッジファンドとは何かある程度ご理解いただけたでしょうか。しかしヘッジファンドにいざ投資しようと思っても、実際どのような基準で投資するファンド選択していいのか悩まれますよね。
そこで続いて、初心者の方でも手軽に投資できる日本国内のおすすめヘッジファンドをご紹介します。
手軽に挑戦できる日本のヘッジファンド
日本国内のヘッジファンドは、日本人が投資しやすいように設定されているのがメリットと言えます。
- やり取りはもちろん日本語でOK
- 時差がないため問い合わせもスムーズ
- 最低投資額が1000万円からと低く設定されている
- 運用利回りも海外ヘッジファンドに劣らないものも
その中でも筆者がおすすめするのが、BMキャピタルです。
国内ヘッジファンド例:BM CAPITAL

近年国内ヘッジファンドも知名度が上がってきており、中でも着実にファンを増やしているのが、安定志向の私募ヘッジファンドBM CAPITAL(ビーエム・キャピタル)です。
- 東京大学の卒業後、英国有名投資会社であるバークレイズでキャリアを積んだファンドマネージャーが運用
- 過去にマイナスを出した年ゼロ回
- 平均年利回り10%以上
と、まさに「資産を守りながら増やす」ことを目的とした国内ヘッジファンドです。
2013年の運用開始以降、継続して順調な運用を見せており、2015年のチャイナ・ショックや多くの有名ヘッジファンドがマイナスを出した2018年の株価大暴落、さらにはコロナショックのあった2020年など、厳しい相場でも全てプラスで乗り越えるという「下落への強さ」を見せてきました。
そんなBMキャピタルの投資対象は日本株で、中でも市場で価値評価が適正に行われていない中小型のバリュー(割安)株をメインに投資しています。
バリュー株は値動きが穏やかで比較的安定した運用が見込めるうえ、株価高騰の可能性も秘めているため高いリターンを期待することも出来ます。
一方、利益が出るまでに時間が掛かかる可能性があるのがバリュー株の難点ですが、BMキャピタルは値上がりを「待つ」だけではなく、「物言う株主(アクティビスト)」として企業に対して価値を高めるよう積極的に働き投資の効率化を図っています。
バリュー株投資の父と呼ばれる、ベンジャミン・グレアムが得意としていた戦略と似ていますね。
BMキャピタルの人気が高かまっているのは、ファンドの安定性と高い利回りの他に、初心者でも投資しやすいのも理由の一つです。
- 投資初心者向けと明言しており、面談はもちろん四半期毎に届く運用報告書も非常に丁寧でわかりやすい
- 最低投資額は1000万円だが、相談次第で1000万円以下の出資も相談可能
最近はコロナの影響を受け、オンラインでも面談が可能になったそうなので、興味があれば遠方や海外在住の方でも気軽にお問合せしてみると良いでしょう。
公式サイトはこちら

さて、最後は少し上級の内容になりますが、世界の市場を動かすヘッジファンドの面々がどのような投資手法を用いているのか気になる!という方は以下の章までチェックしてみてくださいね。
上級編:ヘッジファンドの代表的な投資手法
ヘッジファンドでは多種多様な手法を用い、さらにそれらを複合的に組み合わせて運用している場合が多いため、全ての戦略を説明することは難しいですが、今回は代表的な7つの手法をご紹介しようと思います。
1.ロング・ショート戦略
株式の買い持ち(ロング)と売り持ち(ショート)を同時に行う伝統的な手法。割安銘柄を買い、すでに割高にあるものを売って利益を出します。
相場が大きく上下する場面であっても双方でカバーし合えるため、大きな損失が出る可能性が低いという点も特徴です。
同業種同士でロング・ショートをすることもできますし、異業種ペア、または株と債券などの異なる商品をペアにした手法を取ることも出来ます。
2.マネージド・フューチャーズ戦略
マネージド・フューチャーズは、為替・金利・株式・債券といった金融先物から金・原油・小麦などの商品先物まであらゆる先物市場を投資対象とし、売りと買いの両方のポジションを利用します。
マネージド・フューチャーズを用いたヘッジファンドは良質のシステムが不可欠で、コンピュータによって合理的な高速売買が行われることも特徴です。
歴史的に見てもリターン率が高いことが実証されており、数多くのヘッジファンドのうち10%以上がマネージド・フューチャーズ方式を取り入れています。
3.イベント・ドリブン戦略
イベント・ドリブンは、企業経営に大きなインパクトを与える合併や買収、業務提携をはじめとするイベントが発生する際に生じる株価の上下をチャンスとして投資する手法です。
投資対象となるのは合併や買収、業務提携だけでなく、自社株買いや増資、リストラなども該当します。
特にこれらのイベントが発生することが公になった直後は株価が乱高下する可能性が高く、適正価格から乖離してしまうことが多いです。この隙を狙ってイベントドリブン戦略は利益を稼ぎます。
また、イベント・ドリブン戦略の種類の1つに次のディストレスト戦略があります。
4.ディストレス戦略
ディストレス戦略は、破産した国や破産危機にある国の株式・債券、その他資産を大幅に安くなっている価格で買い、その後価格が戻ってきた時にリターンを得る戦略です。
代表的なのがアルゼンチンの破産(デフォルト)時に破格の国債を買い荒らし、後に高額リターンを得たエリオットマネジメント。
手荒い戦略であることからも、非人道的であると批判を受けることも多いですが、当たった時のリターンは凄まじい数字となります。
5.グローバル・マクロ戦略
グローバル・マクロ戦略は、経済展望を基本とし世界中の金融市場や商品市場のなかでたくさんのポジションを取ります。投資対象は現物だけに限らず、先物も該当します。
イギリスの中央銀行との戦いに勝利したジョージ・ソロス率いるクオンタム・ファンドが代表的なヘッジファンドですが、経済展望(予想)と結果が異なり投資が失敗に終わると、大きな損失が出る可能性があります。
6.アービトラージ戦略
アービトラージ戦略は、同一商品の一時的な価格差(歪み)を捉えて割高な方を売り、割安になっている方を買付け、後に価格差が少なくなったり消滅したりした時点で反対売買をし、利益を得る戦略のことです。
7.マルチストラテジー戦略
マルチストラテジーは、複数の戦略をひとつにしたヘッジファンドで、ある程度規模の大きいヘッジファンドが採用することが多いと言えます。
色々な戦略を取るため、分散投資の効果が加わり、リスクを抑えることが可能。リスクが低いという観点からも機関投資家が出資するケースが多くを占めます。
この他にも多くの戦略がありますが、きりが無くなってしまうので代表的なものだけご紹介しました。
ヘッジファンドとは?まとめ
今回はヘッジファンドとはどういった組織なのか、どのようなメリット・デメリットがあるのかなどヘッジファンドとは何か基礎的な事を簡単にご説明しました。
投資初心者でも挑戦しやすい国内ヘッジファンドは本記事で紹介したBMキャピタル以外にもありますので、色々なヘッジファンドを見てみたいという方は以下のランキング記事を参考にしてみてくださいね。

この度投資初心者が、1000万円クラスのまとまったお金を運用する前に絶対に押さえておきたいポイントを外部の先生のお力も借り1記事にギュッとまとめました!
- これからまとまった元本で投資を始めたい方
- 手元の資産の運用法で迷っている初心者の方
投資額の大小に関わらず、役に立つこと間違いなしの記事ですので是非皆様の資産運用の勉強にご活用下さい!